単なる1敗ではない!「青柳撃沈」に隠された矢野監督の失敗

 矢野燿大監督が青柳晃洋を救えなかった。

 去る8月23日、DeNA3連戦初戦の先発マウンドを任されたのは、青柳だった。しかし、結果は5回3失点の敗戦。チームは今季22度目の完封負け。打線の援護に恵まれなかったせいもあるが、エース・青柳に3戦続けて「勝ち」がつかなかったのは、痛い。

「ここ最近、青柳の調子が落ちています。8月2日以降、勝利投手になっていません」(在阪メディア)

 23日のDeNA戦を見る限り、球のキレ、制球力ともに悪かったが、青柳自身もここ最近の不振は自覚していたようだ。
 
 8月12日の中日戦でのことだ。試合前の練習中、登板のなかった青柳は自ら矢野監督のもとに歩み寄り、アドバイスを求めたという。
 
「9日のDeNA戦に先発し、自身に『負け』こそつきませんでしたが、6回2失点と内容が良くありませんでした。2日の巨人戦には勝利しましたが、6回3失点。敗戦投手になっていてもおかしくはない状況でした」(前出・同)

 関係者の話を総合すると、青柳は自身の配球スタイルに行き詰まり、前半戦とは異なる組み立てが必要だと思っていた。
 
 矢野監督に不振脱出のヒントをもらおうとしたのだが、その後の2試合の投球内容を見る限り、「青柳はまだ迷っている」とも解釈できる。
 
「バッテリーがスコアラーの報告を受け、バッテリーミーティングに入るのはナイターなら、お昼過ぎ。新人や先発から遠ざかっているピッチャーの場合は午前中からミーティングを始めます。今、青柳も午前中から打ち合わせに入ります」(前出・関係者)

「考えすぎ、もっと楽な気持ちで」と指摘する声も聞かれた。阪神のリリーフ陣は人材が豊富だ。クローザーの岩崎優が調子を落としているものの、湯浅、ケラーなどの代役もおり、「無理して、長いイニングを投げようとしなくても」というわけだ。

「23日、投手の今永にタイムリーを打たれましたが、その直前に8番の森敬斗を申告敬遠しているんです。走者が三塁にいたとはいえ、今季初対戦の若手に対し、安全策を取るとは…。そういう意味で、今永の適時打は青柳にダメージを残しました」(前出・同)

 矢野監督が青柳にどんな助言を送ったのかは、分からない。だが、青柳が立ち直らないことには、首位ヤクルトの追撃から阪神は「完全に脱落」となるだろう。

(スポーツライター・飯山満)

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