昨夏の覇者・智弁和歌山が初戦敗退した(8月13日/大会8日目)。国学院栃木の4投手のよる継投策が功を奏した。
「国学院栃木は栃木県大会準決勝で、10年連続で夏の代表校だった作新学院に勝利しました。“強豪校キラー”かもしれません」(地元メディア)
レベルの高い投手が何人もおり、野手も複数ポジション制だという。試合前には相手投手を研究し、たとえば「左投手なら三塁走者が見えにくいので重盗を仕掛けるタイミングを…」と、具体的な戦略を立てて臨んでいるそうだ。
「国学院栃木の勝利によって、『関東勢は苦戦する』という大会前の予想は崩れました。もっとも智弁和歌山が敗れたとはいえ、『近畿勢優勢』の見方は変わっていません」(アマチュア野球記者)
今夏の関東勢9校全て(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東西・東京、神奈川、山梨)が出揃ったのは、8月10日。“大トリ”の明秀日立が勝利し、9校全ての初戦の成績は6勝3敗。これに対し、全国区の強豪校揃いの近畿勢(京都、滋賀、奈良、和歌山、大阪、兵庫、)は、智弁和歌山が敗れたため、4勝2敗となった。関東、近畿双方は勝率では変わらないが、昨夏の大会中、明徳義塾(高知)の馬淵史郎監督がこんなコメントを残している。
「練習する場所がないんですよ。それに対し、地元の学校は自分のところの雨天練習場でやっている。地方から来ている学校は雨が降ると、思うように練習会場を確保できない。その環境の違いがある」
昨年は日本列島に停滞する前線の影響で、計6度もの雨天順延があった。
馬淵監督は甲子園に近い近畿圏の出場校がいったん母校に帰って練習している状況を羨んでいた。また、他県の代表校も雨天練習場を確保できず、恨めしそうに空を見上げていた。
「練習場を確保するのに苦戦している学校は少なくありません。系列校、宗教系の学校であればそのツテでなんとかなりますが、そうでない学校は監督の個人的な関係、学生時代の先輩後輩が指導している学校などに相談したりしています」(私立高校監督)
暑さ対策、投手の健康問題、日程はもちろんだが、日本高野連はこうした“地域間格差”の問題も解消しなければならないだろう。
(スポーツライター・飯山満)