ある政府関係者は李春光事件について、
「それにしても、したたかなスパイだ。民主党政権が続いていれば、まだまだこの先があったのではないか」
と総括をしていたが、今回、公安関係者が指摘した鳩山氏と中国との関係は、この事件に通じるものがある。実際、前出の公安関係者もこう語る。
「民主党が野党の頃から接触を始めていた李のケースと同じように、中国は長期的な視点に立って、野党の人脈を今から育てようとしているのではないか」
こうした懸念も含めて鳩山氏は何と答えるのか。共和党に取材を申し込むと、参院選神奈川選挙区に出馬した共和党物差(党首)である首藤信彦氏が文書で回答を寄せた。
その文書によると、〈横浜中華街の友人〉に選挙の手伝いを頼んだところ他にも友人をつれてきた、と中国人の応援は認めたものの、中華街以外の友人については、〈中国語らしい言葉で会話していた〉としながらも、断固として国籍不明とした。文脈からして中国大使館の動員ではないと主張したかったのだとみられる。
また、鳩山氏については、〈一切伝えておらず、同人が知っていたかどうかもわからない〉と明言。さらに、中国に政治利用される懸念については〈荒唐無稽な話〉と切って捨てたのだった。
一方、中国大使館側にも事実確認を行ったが、締め切り日までに回答はなかった。
これらを前に、公安関係者が眉をひそめる。
「いずれも中国大使館、あるいは中国政府の存在を明らかにしたくない様子だが、事の真相は遠からず明らかになるだろう」
意味深長な発言が示しているのは、いったい何なのか。ともあれ、スパイ事件の再来は、日本国民としてはご免こうむりたいところだ。
時任兼作(ジャーナリスト)
*「週刊アサヒ芸能」7月21日号掲載