J2「ザスパクサツ群馬」の名称変更報道に見る「クサツ」の悲哀

 サッカーJ2の「ザスパクサツ群馬」で、2024年シーズンにチーム名を変更して「クサツ」を除いた「ザスパ群馬」とする案が浮上していると、地元紙の上毛新聞が報じている(チームは検討していたことは事実としながら具体的なことは決まっていないとしている)。

 これに対しSNSでは「申し訳ないが、『ザスパクサツ群馬』にチーム名変更したことも知らなかった…ずっと『ザスパ草津』だと思っていたよ」との声が。正直、多くの人がこのニュースに触れて同じ事を思ったのではないだろうか。そもそも選手が草津の温泉宿で働きながらプレー……というのが当初の売りだったわけで。名前の由来も「THEスパ」だというから、「クサツ」があった方が自然だ。

 ザスパは95年に群馬県社会人リーグに所属していた「リエゾン草津」が前身。02年に「ザスパ草津」になると、Jリーグ入りを果たすため、全国的に有名な指導者、選手を獲得。03年に「草津温泉フットボールクラブ」を運営法人として設立、05年に念願のJリーグ入りを果たした。

 するとホームスタジアムや練習拠点が前橋市にある、群馬全県区のチームに様変わり。そして12年にはチーム名を「ザスパクサツ群馬」に。ここから本格的に「脱草津町」化が進むわけだが、この時のエピソードがまた「クサツ」には物悲しい。当初は「ザスパ草津・群馬」とする案もあったのだが、これだとマスコミに「ザスパ・群馬」と略される可能性があるとして、カタカナの「クサツ」を入れることにしたという。

 その後19年には企業名からも「草津」が落ち、現在の「ザスパ」に。だからザスパの歴史は「草津」もしくは「クサツ」が消えてゆく歴史でもあったのだった。

 ネットやSNSでは「残念」という声もあれば、実情を考えれば「やむなし」の声が。ただ報道では「特定の地域色を薄めて協力企業の拡大を目指す」とあったことから、「『草津』が入ってると、それを理由に協賛を躊躇する企業があるんかな?」と、この記述の裏を読む声も。地方の実情を考えてみれば確かにありそうな話だ。

 また「それよりも強さなんじゃないのかな? たとえばアントラーズとか、いまだに『鹿島』だけだし」との厳しい意見も。

 ただ、古くからの強豪であるJ1は都市名のチームが多く、新興のJ2は県名のチームが多いのが実情。身の丈を考えれば「クサツ落とし」も仕方ないのかもしれない。

(猫間滋)

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