塩野義コロナ飲み薬「日本で見送り→中国で承認申請」に噴出する厚労省への怒り

 塩野義製薬が、開発中の新型コロナウイルス感染症の飲み薬「ゾコーバ」について、中国での薬事承認を目指し、中国当局に治験データなどの資料提出を始めたと発表した。日本では、この薬の承認のために「緊急時承認制度」の法整備までしたのに、まさかの承認見送りとなり、そんな中での中国への承認申請発表に《厚生労働省は何をしているんだ》といった責任追及の声もある。
 
「同社によると、中国国内では治験の実施はしていないものの、日本や韓国などで実施して日本の厚労省に提出したデータを中国の薬事当局にも提出して薬事承認を目指すといいます。塩野義が海外にゾコーバのデータを提出するのは初めてで、申請前にデータを提出することでスムーズに承認されることが期待されます」(社会部記者)

 ゾコーバは日本国内での提供を最優先として今年2月に厚労省に薬事承認を申請していたが、「さらに慎重に議論を重ねる必要がある」として結論は持ち越された状態にある。そのため、塩野義が中国での承認申請を開始したことにネット上では、《塩野義の飲み薬もウイルス量を減少させる効果や安全性は確認されているのに厚労省は責任を取りたくないから承認しない》《海外で認めたれたワクチンは緊急承認して副反応が出てもバンバン打たせているけど、自分の国の薬となるといっこうに認めないのは責任逃れにほかならない》《日本で承認されなきゃ中国に行ってしまうのは当然の話。日本より先に中国で承認されれば、日本は世界から笑い者だろう》など厚労省に対して厳しい意見が相次いでいる。
 
「塩野義が厚労省に提出した約430人分のデータは一般的な薬の治験と比べると少なく、データではウイルス量を減らす効果が確認された一方で目標に定められた12症状の改善が明確でなかったことから、6月22日に行わた薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会では、可否判断が見送られました。飲み薬であるゾコーバはワクチンと比べ副作用が軽度であることもあり、早い承認が待たれていますが、厚労省は慎重な姿勢を崩していません。7月20日にも分科会が開かれ承認の可否が再審議される見通しですが、そこで再び結論が持ち越しとなれば国民の不満はさらに高まることとなるでしょう」(医療ジャーナリスト)

 もし、中国で先に承認されることになれば、不満が爆発してしまうかもしれない。

(小林洋三)

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