輸入牛肉の価格が高騰し、「吉野家」や「松屋」の牛丼が値上がりしていることが話題となっているが、ここにきて輸入鶏肉の価格もじわりじわりと上昇を続けており、空前のブームとなっている“からあげ専門店”が危機にさらされているという。
「輸入鶏肉の値段が上昇している主な原因は、新型コロナウイルスの感染拡大によって主な産地であるブラジルやタイで人手不足が発生しているからです。しかも、中国やアメリカでは食肉需要が急増しており、仕入れ価格は値上がりし、コロナ前と比べるとキロ200円も高くなっているのです」(経済ジャーナリスト)
11月30日には味の素冷凍商品が、タイで製造する鶏肉加工品の原材料費や物流費が上昇していることを理由に来年2月1日から、から揚げなど家庭用鶏肉加工品5品を約6~10%、業務用40品も来年3月1日納品分から約6~8%値上げすると発表している。
「こうした値上げで窮地に立たされているのが、からあげ専門店です。コロナ禍のテイクアウト需要の高まりとともに大ブームとなり、今年7月にはワタミが手掛ける『から揚げの天才』が1号店のオープンから2年7カ月で100店舗を達成したことでも話題に。日本唐揚協会の調査によれば、この3年でからあげ専門店は2倍以上にもなる急拡大を続けているのです。から揚げはもともと原材料が安く、調理設備も技術もそれほど必要ではないため低価格で気軽に参入できることも魅力でしたが、ここに来て輸入鶏肉の価格が上昇。さらには食用油の価格も上昇し続けているのです」(同)
本来であれば値上げをしたいところだが、競合するライバルも多くあることから、おいそれと吊り上げられない事情もある。
「材料費が高騰し、商品価格が下げられないとなれば、人件費を下げるしかありませんからね。そうなると、接客や調理の質が下がる可能性も出てくる。店舗を急拡大して、競合が原因で失速という某チェーンと同じ流れになるかもしれません」(経営コンサルタント)
何とか踏ん張って欲しいものだ。
(小林洋三)