“松井秀喜の同僚”カノが40人枠漏れ、レジェンドついに戦力外通告か

 現地時間5月1日、ニューヨークメッツのロビンソン・カノが40人枠から外された。事実上の戦力外通達だという。ここまでの打率は1割9分5厘、今季40歳。通算2632安打を放ったレジェンドの“終焉”としてはあまりにも寂しすぎる。しかし、今回の40人枠漏れについては「やっぱり!」の声も囁かれていた。

「成績不振も影響していますが、カノは禁止薬物の使用が発覚し、昨季は1年間の出場停止処分が下されました。サンディ・アルダーソン球団社長は三塁コンバート案を口にしていましたが、二塁手としてゴールデングラブ賞に5回も選ばれたカノが、長いキャリアのなかでサードを守ったのは、2試合だけ。遠回しに『もう居場所はないよ』と言われていたようなもの」(在米ライター)

 禁止薬物による出場停止は2度目。居場所がなくなったのは、そのせいではないようだ。

「21年オフ、メッツは新ゼネラルマネージャーを探していましたが、メディアに名前が報じられた候補者には全て断られ、決まるまでかなりの時間を要しました」(同前)

 ようやく決まった新GMとは、元エンゼルスのビリー・エプラー氏だ。そう、大谷翔平の獲得で名を馳せた人物である。

 エプラー氏は、今回の“カノの戦力外通達”に先駆け、球団オーナーや経営トップのもとを何度も訪ねていたという。春季キャンプの短縮による特別措置で28人に拡大されていたロースター枠が、5月2日から26人に戻される。成長著しい若手も試合出場できる状況にするには、40人枠に「空き」を作っておかなければならない。エプラー氏はGMとしてその決定権を持っていたが、オーナーや経営トップに「カノを外してもいいか?」と相談し、ゴーサインをもらってから断を下したそうだ。

「カノはヤンキースでキャリアをスタートさせました。メッツはリーグこそ違いますが、カノのニューヨークの野球ファンにもたらす影響力は今も無視できないほどです」(現地記者)

 カノに興味を示している球団は少なくない。しかし、ウェーバー公示を経てトレードとなった場合、マリナーズ時代に結んだ10年2億4000万ドル(約240億円=当時)の契約の残り2年分を引き継がなければならない。いったん、自由契約で退団となれば、そのあとでカノを獲得した球団はメジャー最低年俸額の70万ドルだけで済む。契約は23年シーズンまで。メッツはその70万ドルを引いた分を支払うことになるが、「それでも、40人枠を空けなければ」と判断したわけだ。

「カノがメッツに移籍したのは19年シーズン。カノの代理人であるブロディ・バンワゲネン氏のメッツGM就任が影響していました。こうした編成部のゴタゴタも清算したかったのかも」(同前)

 カノはゴジラ松井氏のチームメイトでもあった。日本人メジャーリーガーを大いに刺激したスラッガーが、日本人選手との関わりも深いGMによって40人枠を外されるとは、感慨深いものがある。

(スポーツライター・飯山満)

スポーツ