北朝鮮が4月25日に軍事パレードを実施するとの情報を受け、18日、米韓の北朝鮮担当トップが韓国で協議。「国連安全保障理事会が北朝鮮に対し、これ以上のミサイル実験は受け入れられないという明確なサインを送ることが極めて重要だ」として、北朝鮮が核実験や大陸間弾道ミサイル発射などを強行した場合、米韓両国が安保理などを通じ、強力に対応していくことを改めて表明した。
そんな中、一部ウクライナメディアが伝えた、ロシア軍トップのショイグ国防相が、ミサイルを発注するため訪朝していた可能性がある、とする記事が波紋を呼んでいる。
「これは、プーチン大統領への批判により2003年に弾圧を避けてイスラエルへ亡命したロシア最大石油企業ユコスの元最高経営責任者(CEO)レオニード・ネブズリン氏の証言をもとに、ウクライナ現地ニュース『TBN』が伝えたもの。ショイグ国防相は先月11日から2週間以上にわたり公の場に姿を見せず一時は粛清されたのでは、といった噂も流れましたが、先月29日に突然、国防関連会議に出席。その動向が注目されていました。ところがネブズリン氏によれば、じつはショイグ氏はこの2週間の間に中国と北朝鮮を訪問し、消耗した弾薬やミサイルなどの支援を要請したというのです。その結果、中国は米欧諸国からの批判を懸念し要請を断ったが、北朝鮮は要請に同意したという情報が駆け巡りました」(軍事ジャーナリスト)
北朝鮮製のミサイルは、これまでもイランやパキスタン、シリア、リビアなどに輸出され、なかでもダントツ人気なのがスカッドミサイルなのだという。
「北朝鮮は1990年代、崩壊した旧ソ連出身のロシアやウクライナの科学者約50人に対し、『北朝鮮に来てくれれば、米国に行く場合の2倍の給料を保証する』という条件で個別にスカウト。核・ミサイル開発にあたらせてきました。と同時に、中東諸国にミサイルを大量に輸出し、その資金を核・ミサイル開発に投入することで、技術力を著しく向上させています。結果、それが高性能スカッドミサイルや新型巡航ミサイル、米国にも届く大陸間弾道ミサイル『火星17号』開発へと繋がっていったというわけです。今回の要請でロシアから大量注文が入ったとすると、今後はシリアや中東諸国からの発注も増えることが想定され、その資金が核開発に投入されれば、恐ろしい話ですが北朝鮮が高性能ミサイルの先進国になる可能性も否定できなくなります」(同)
しかも北朝鮮は、ベトナム戦争や第4次中東戦争、あるいはシリア内戦ではアサド政権に援軍や義勇兵を送っていたことも報じられている。つまり、弾薬やミサイルだけでなく、兵力を送る可能性もないとはいえない。
「実際、アサド政権の援軍として闘った北朝鮮の兵士には月5000ドルを支給していたそうですから、金欲しさで義勇兵に志願する者が現れることも考えられます。北朝鮮がロシアを全面支援するとなったら、隣国である日本はかなり難しい立ち位置に追い込まれることは間違いない。いよいよ国防力を見直すべき時かもしれません」(同)
中国、ロシア、北朝鮮。厄介な隣国に囲まれた日本が今、やるべきことは……。
(灯倫太郎)