ウクライナ情勢については宇宙開発のスペースXや電気自動車のテスラでCEOを務めるイーロン・マスク氏が積極的にSNSで発言。「私はウラジミール・プーチンに決闘を挑む」とし、「私は左手だけで戦ってもいい」とプーチンを挑発するような投稿を行っている。そしてホリエモンこと堀江貴文氏は、3月20日にTBS系の「サンデージャポン」に出演した際にこのことを取り上げた。
「彼はあれやるとめちゃくちゃ儲かる」
つまりは、世間がアンチ・ロシアに傾けば傾くほど、ソユーズロケットの宇宙開発で世界に先行してきたロシアのシェアが低下して、その分スペースXに仕事が回ってくるから、というわけだ。そして堀江氏の発言を現実が裏付けるようにして、スペースXのシェアが高まりつつあるらしい。
「ロシアは経済制裁への対抗策として、アメリカやイギリスへのソユーズロケットのエンジン提供を停止すると言いだしているんです。そしてイギリスの政府系企業である衛星通信会社は、これまでソユーズで衛星を打ち上げていたところ、ロシア側から軍事目的でないことを保証がされないとロケットを提供しないと通知され、これを拒否。代わりにスペースXと契約を交わすことにしたんです」(全国紙記者)
ロシアはガスや石油の取引をルーブルで行うと表明。一方、EU側はいつ紙屑になってもおかしくないルーブルでの取引拒否を表明したばかり。ロシアがこねる“駄々”は受け付けない方向だ。そして経済政策では「脱ロシア化」を推進。ロシアがいなくても大丈夫な経済を作りつつある。その1つの事例として、宇宙開発の現場でも脱ロシアが進んでいるというわけだ。
「アメリカが2011年にスペースシャトルを引退させてからは、ソユーズが有人で国際宇宙ステーションのISSに行くための唯一の手段でしたが、スペースXなどの民間企業の台頭によって事情は変わりつつあります。つまりは、1961年にソ連がガガーリンを宇宙に送って『地球は青かった』と発言せしめて以来のロシアの宇宙開発を、今回の戦争で自ら放棄することになりそうな状況になっているんです。経済的に見たら、ホリエモンの慧眼ということになります」(同)
ウクライナの前線では、停戦合意が少しずつ進みそうな気配もある。ところが、ロシアが受けた経済制裁で広がった「ロシア・リスク」の悪印象は覆しようがなく、停戦に至ったとしてもロシア経済を苦しめ続けることになるだろう。
(猫間滋)