VWの「ワーゲンバス」EVモデルで復活も「コレじゃない!」の声が出たワケ

 独フォルクスワーゲンは3月9日、熱狂的ファンが多い“ワーゲンバス”のDNAを持ったEVワンボックスカー「ID.Buzz」をワールドプレミアで正式発表したが、その見た目にネット上では首をかしげる声が飛び交っている。

「ワーゲンバスは1950年~60年代にかけて人気を博した商用向け自動車で、同社のタイプ1(ビートル)の大型車を作ろうと製作されたことから“タイプ2”とも呼ばれています。特に人気の高い第1世代(T1)は、本国ドイツでは67年に製造が終了。ブラジルでは75年まで生産されていましたが、今もキャンパーやサーファーからの絶大な支持を得ていて、程度のいい中古車ではプレミアがついて1000万円を超えるものもあるほど。再販を望む声も少なくありませんでした」(モータージャーナリスト)

 そんな中で、フォルクスワーゲンのデザイン責任者が「ID.BuzzはT1のDNAを現代に、ひいてはエレクトリックモビリティの時代に伝えています」と発言したことから、ワーゲンバスがEVで復活すると話題になっていたが、公開された写真を見たファンからは《え、これのどこがワーゲンバス?どこらへんがタイプ2なの?》《カラーリングをワーゲンバスっぽくしただけの、どこにでもある普通のワンボックスカー》《IDシリーズにスライドドア付けただけじゃん。これでワーゲンバス復刻とか笑わせる》など批判的な意見が相次いでいるのだ。

「やはり『T1のDNAを現代に』という言葉からデザインを踏襲すると期待していた人にとってはショックが大きかったかもしれません。デザインは基本的にT4以降のものをバージョンアップさせた形ですからね。しかも、ワンボックスカータイプであるにもかかわらず、用意されたのは5人乗りの乗用モデルと3人乗りの商用モデルのみ。キャンプやサーフィンで人も道具もたくさん乗せたいという方には、あまり向かないかもしれません」(前出・モータージャーナリスト)

 なお、ID.Buzzは5月から欧州で先行予約を開始し、その後アメリカなどでも導入される予定だというが、日本での発売は未定となっている。

(小林洋三)

*画像はイメージです

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