プーチン大統領「精神崩壊」の決定的証言【1】これまで見たことがない状態

「プーチンは現実から完全に乖離し、錯乱している」

 こう言って不気味な警告を発するのは、マイケル・マクフォール元駐露米大使である。「現実乖離」「錯乱」とは、およそおだやかな言葉ではない。さらにマイク・マッコール米下院議員も、次のように激しく断じた。

「プーチンは孤立し、妄想に囚われている。これは全世界にとっても、とても恐ろしいことだ」

 核の使用をチラつかせての脅迫、原発施設や核研究施設への砲撃、小児病院や産婦人科病院へのミサイル爆撃、人道回廊への地雷埋設や避難民への攻撃‥‥。2つの発言はいずれも、常軌を逸した蛮行がエスカレートの一途を辿る、ロシアのプーチン大統領の精神状態を分析したものだった。

 2月24日に始まったロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻そのものも信じ難い世紀の暴挙には違いないが、残虐の限りを尽くしてやまないプーチン大統領は「21世紀の暴君」と言っていい。

 そんな中、アメリカの対外諜報活動に深くコミットしてきた米政官界のキーマンらが、CNNやNBC、CBSやFOXニュースなどのテレビメディアやSNSメディアなどを通じて、プーチン大統領の「狂気」に対する深刻な懸念を相次いで表明し始めた。その一部が冒頭のコメントだ。

 プーチン大統領の精神状態に関するブリーフィング(政府報告)を受けたというマルコ・ルビオ上院議員は「本当はもっと話したいが、今言えることは」と前置きして、

「プーチンがどこかおかしいということは、もはや誰の目にも明らかだ」

 と指摘し、コンドリーザ・ライス元国務長官も、軍事侵攻直前にプーチン大統領と会談したフランスのマクロン大統領と同じく、

「今のプーチンは全くの別人だ。これまでに見たことがない状態に陥っている」

 との認識を語っている。さらに列挙すると、

「独裁主義の指導者は孤立から誤算へと導かれる」(マーク・ウォーナー上院諜報委委員長)

「実は、プーチンは怖がっている。全体主義のリーダーは強く見えるが、実際には非常に脆いのだ」(ハーバート・マクマスター元大統領補佐官)

「プーチンは狂気に陥っていると個人的には思う」(ジェームス・クラッパー元国家情報長官)

 極め付きはトム・ニコラス元海軍士官学校教授で、「パラノイア(偏執病)」と断じたのだ。

「週刊アサヒ芸能」2022年3月17日号で報じたように、昨年11月、アメリカのバイデン大統領はNSC(国家安全保障会議)内に「タイガーチーム」と呼ばれる対ロシア戦略特命部隊を緊急編成させている。

 その後、ロシア軍による軍事侵攻が開始されてからは同チームに対して、軍事クーデター、政権転覆、暗殺などを含めた「プーチン排除作戦」を秘かに練り上げさせるとともに、プーチン大統領の「精神状態」に関する情報の収集と分析を急ぐよう命じていた。そしてプーチン排除計画の実働部隊には、米諜報当局が長い年月をかけてクレムリン(ロシア大統領府)内に築き上げてきたエージェント(協力者、スパイ)が配備されたのである。

*「週刊アサヒ芸能」3月24日号より。【2】につづく

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