東京都が「銭湯」入浴料10円値上げ決定で経営者から上がる悲鳴

 東京都は、都内の銭湯(公衆浴場)の入浴料を10月1日より460円から470円に10円引き上げることを発表した(12歳未満の入浴料は据え置き)。入浴料の値上げは2014年以来の5年ぶりとなるが、銭湯の経営者たちからは悲鳴も聞こえてくる。
 
「銭湯の料金は各都道府県の知事が統制額として決定しており、消費増税や燃料や光熱費の高騰など経済状況にあわせ改定しています。今回は10月に予定されている消費増税に合わせて入浴料の値上げが決まりましたが、消費増税には延期説が根強く、《まだ値上げを決めるのは早すぎるのではないか》とする意見も多いのです」(経済ジャーナリスト)

 東京都の場合、入浴料は2000年以降400円から430円、450円、460円と段階的に引き上げられてきた一方、02年に1025軒あった銭湯が17年には562軒と半減している。
 
 ある銭湯経営者はこう語る。

「全国で見ても住宅の浴室保有率95%を超え、昨今はスーパー銭湯も増え続けている中、値上げはもっと慎重に決めるべきではないのか。都や業界団体は今後、東京五輪に向け外国人観光客にも銭湯を積極的に宣伝すると言っていますが、そんなのはほんの数カ月のこと。しかも、それによって常連客が離れてしまっては元も子もない」(都内の銭湯経営者)

 銭湯は経営者の高齢化により廃業を検討するケースも多い。当然、経営者側は内風呂にはない魅力をアピールする必要もあるが、その足を引っ張ることだけはしたくないものだ。

(小林洋三)

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