ウクライナが反面教師!? 北朝鮮がミサイルを打ちまくり、米は“番犬作戦”で対抗

 北京五輪が終了すると「待ってました」とばかりに行われたロシアのウクライナ侵攻。核の使用もチラつかせて、「なんで? 誰得?」とも思うのだが、この言語道断な行いは予断を許さない状況にある。

 地理的には日本にとってはだいぶ遠い所の話ではあるが、極東というホットスポットに位置する日本にとってはやはり対岸の火事では済まされない。時あたかも2月28日、北朝鮮がロシアのウクライナ侵攻への支持を表明して、今年に入って8回目のミサイルを発射したからだ。

「アメリカ太平洋空軍は2月23日にF35Aステルス戦闘機10機を沖縄・嘉手納基地に配備したと公表。19日にも2機が配備されていたので、これで12機が配備されたことになります。衆目では、北朝鮮の動きをけん制するものとされています」(全国紙記者)

 F35Aは「次世代の高性能ステルス戦闘機」として期待されている。アメリカの空・海軍、海兵隊のほか、イギリスやオーストラリア、韓国といった同盟国軍のほか、日本の航空自衛隊三沢基地にも20機が配備されている。なぜ北朝鮮対策なのかと言えば、北朝鮮が今年に入って7回ものミサイルを発射、特に1月30日には5000㎞離れたグアムを射程とする「火星12号」の中距離弾道ミサイルを発射したことで、アメリカ軍は直後にグアムに核兵器を搭載できる戦略爆撃機を配備。さらに追加措置として今回、嘉手納基地へF35Aステルス戦闘機を配備したという見方がある。もし何かあれば北朝鮮深くまで出撃して攻撃を加えるぞ!というサインというわけだ。

「加えて、日本に配備されたのがちょうど北京五輪が閉幕した20日前後と重なるので、ロシアのウクライナ侵攻を見越してのことだと思います。アメリカがウクライナ問題に掛かり切りになれば極東は手薄になります。この隙に北朝鮮に何らかのアクションを起こされたらたまったものじゃない。だから今回のステルス機の配備は、留守番の番犬を置いたということでしょう」(同)

 というのも、対北朝鮮では「4月危機」説というものが囁かれているからだ。

 22年4月は国の建設者である故・金日成主席の生誕110周年に当たる(4月15日)。12年に100周年を迎えた際には、人工衛星の「光明星3号」が発射された。17年の115周年の時は、それまでに核実験にICBM発射にと北朝鮮が暴れ回って最高潮に危機が高まった時期。トランプ前大統領が金正恩総書記を「ロケットマン」呼ばわりして応酬を繰り広げていたころだ。だが結局この時は北朝鮮が自制。代わりに翌年にはトランプ・金正恩の歴史的首脳会談が実現して、北朝鮮がアメリカを話し合いのテーブルに引き出すことに成功した。

「ウクライナ問題は北朝鮮にとっては反面教師であり、好機でもあります。ウクライナは独立に当たって核を放棄したことでロシアに侵攻されました。となると北朝鮮では『やはり核兵器は必要』ということになります。そしてそのウクライナにアメリカの視線が向いているうちは北朝鮮にとっては核兵器開発のチャンスともなります」(同)

 もともとアメリカは中国の覇権主義に歯止めをかけるべく、米中冷戦を争っていたところ。そこにロシア、北朝鮮が加わって、時まさに“新冷戦”時代と化しつつある。果たしてアメリカは3正面作戦に対応できるのだろうか。

(猫間滋)

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