ロックアウト解除後に条件面など細部を詰めて——。新・労使協定の話し合いの遅延でメジャー球団との交渉がストップしていた鈴木誠也外野手の移籍先として「パドレス」が本命視されているという。
一部メディアがそう伝えたのだが、そこには「複数の球界関係者の話を総合すると」とあった。この手の関係者とは、実は“本人”であるケースもままあって…。
「2月10日付の米地元紙『サンディエゴ・ユニオン・トリビューン』で、パドレスが鈴木獲得に動くようだと伝えていました。また、『球団史上最高額の総年俸となる見込み』との意味深な記事もありました」(スポーツ紙記者)
こうした状況から、パドレス入りの確率はかなり高いと見ていいようだ。しかし、パドレス入りが実現すると、鈴木は良い意味で変貌するかもしれない。
「センターのレギュラーが予定されているトレント・グリシャムは、若手の有望株です。20年シーズンはゴールドグラブ賞にも選ばれており、本拠地のペトコ・パークは外野が広い球場として知られています。仮に鈴木が入団したら守備で魅せる機会も増えそうです」(在米ライター)
また、鈴木は“原点回帰”することにもなりそうだ。パドレスはチームが低迷した昨季もチーム全体で110個の盗塁を記録している。この数字は30球団中2位。ナ・リーグでは最も多い盗塁数である。
「パドレスは走れる選手が多い。特定の選手が盗塁数を量産しているのではなく、“隙があれば遠慮なく”の意識がチームに浸透しています」(前出・同)
打つことに専念できるのは、ごく一部だけ。走れない選手は、基本的に試合では使ってもらえない雰囲気になっているという。当然、鈴木も走らなければならないし、パドレスも「鈴木は単独スチールもできる」と判断したうえで獲得に乗り出したのだろう。
「今さらですが、鈴木は走攻守3拍子揃った選手。4番を任されるようになり、単独スチールを仕掛ける場面も少なくなりましたが、19年には25盗塁しています。パドレス移籍が決まったら、打つだけでは許されないはず」(同)
サンディエゴには日本の食材を扱った大型スーパーもあり、私生活では困らないだろう。ロックアウト前、鈴木は8球団と交渉しプレゼンを受けた。その全てに元・新体操選手の畠山愛理夫人も立ち会った。夫人も生活環境、物価など事細かな質問をし、米球団側に「アナタなら代理人もできる」と称賛されたそうだ。
もっとも、このままMLB機構と選手会の話し合いがこじれたままなら、「走れる鈴木」の活躍は見られないかも…。
(スポーツライター・飯山満)