C さらに言えば、官邸寄り、政府寄りと言われる基本的対処方針分科会に対して、新型コロナウイルス感染症対策分科会には、官邸や政府の意向におかまいなしという雰囲気があります。対処方針分科会が今年に入って頻繁に開催されている一方で、新型コロナ対策分科会は昨年11月以降、実は一度も開かれていないという事実があります。同様に、まん延防止措置や緊急事態宣言を発令する際に行われる総理記者会見への尾身会長の出席も、岸田政権になってからは基本的に中止されているのです。
─尾身会長はそんなに嫌われているのですか。
D 嫌われているどころの話ではありません。事実、尾身会長による件の爆弾発言以降、岸田総理の意向やホンネを忖度した官邸及びその周辺からは、内閣府や厚労省をはじめとする政府部内に対して「とにかく分科会を黙らせろ!」「そして、尾身の動きを常に監視しろ!」との強硬な極秘命令が、怒号とともに発出されたと聞いています。
─では、尾身発言を巡る第2のウラとは?
C 官邸や政府だけではなく、尾身会長自身や分科会もまた、パニックと思考停止に陥っている、という深刻な現状がそれです(一同苦笑)。先ほどBさんは尾身会長の爆弾発言について、半分は正解だが半分は不正解だ、と指摘されました。結局、ステイホームや飲食店対策は無意味という「正解」に辿り着きながら、人数制限には意味があるという「不正解」を口にしてしまったのは、尾身会長や分科会も何をしていいのかわからないどん詰まり状態に追い込まれているからなのです。
─それにしても官邸や政府はなぜ、尾身会長や分科会をそれほどまでに警戒しているのでしょうか。
D 尾身会長や分科会から官邸や政府の方針にチャチャを入れられると、オミクロン対策のデタラメぶりやオソマツぶりが白日の下に晒されてしまうからです。実は岸田総理は「オミクロン株による第6波の感染爆発は、2月中には自然にピークアウトを迎える」と考えています。そしてピークアウトを迎えた時点で「まん延防止措置をはじめとするオミクロン対策が功を奏した」とアピールする腹づもりでいます。
─第6波が間もなくピークアウトするのが本当だとすれば、国や自治体が進めている3回目のワクチン接種にも意味がないということになりませんか。
A そういうことになりますね。もともと対新型コロナワクチンは、感染を防止するためのものではありません。また、重症化予防に一定程度の効果があるとしても、ブースター接種が行き渡る頃にはピークアウトを迎えていることになりますから、そもそも理屈として矛盾しています。WHO(世界保健機関)も「2回接種で十分」と勧告しているくらいですから。私の目には飲食店対策と同様、3回目接種も、極めてレベルの低い弥縫策にしか映りません。
〈座談会出席者〉
A=ウイルス学の専門家/B=公衆衛生学の専門家/C=政府関係者/D=自民党関係者/E=公共経済学の専門家
*岸田総理「分科会を黙らせろ!」大パニック怒号【4】に続く