正しく恐れる「オミクロン」の処方箋【3】1月末からが感染のピーク

 入国制限などの水際対策をいち早く取り入れていたイギリス、フランス、ドイツ、スイスはすでに緩和して経済活動再開へと舵を取り始めている。

「フランスを見てもそうですが、国民が言うことを聞かなくなっているんです。1月8日には、ワクチン接種を義務化する法案に抗議するため、各地で10万人超えの大規模デモが敢行されました。国民からすれば、コロナウイルスが発生して2年経っているのに抑え込むことができず、政府は信頼を失っています。政策で縛りつけることができず、経済的打撃が大きくなっているので、ビジネス目的の入国の受け入れを再開したり、ワクチン接種済みなら隔離義務を免除するという方針転換を打ち出しました」(山田氏)

 日本としても経済を動かしながらオミクロン株を制御したいところだが、名医本のパイオニアとして著書50冊以上を刊行する医学ジャーナリスト・松井宏夫氏はこう語る。

「オミクロン株は今まで以上に感染力が強いので、3密空間は注意しなければならず、感染拡大を防ぐために営業時間の短縮はやらざるをえないでしょう。現時点で感染対策と経済対策の両輪を回すのは難しい。アメリカでコロナの飲み薬が承認され、日本でも昨年の12月に承認されましたが、オミクロン株にも効果があると言われています。ただ、インフルエンザ治療薬のように薬を飲めば治るという段階までいかない限り、宴会をキャンセルするなど、我慢の時間が続きます」

 勝田教授も警鐘を鳴らして、

「国民のコロナに対する意識がだいぶ変わってきているので、『まん防』を実施した時などに使われる『経済を止める』という表現はしっくりとこなくなってきました。電車はちゃんと動いているし、外食でも営業時間内にご飯を食べることができています。それより現時点で深刻なのは、内側からの医療崩壊。1月11日に沖縄県では、新型コロナ患者を受け入れる21医療機関で、感染や濃厚接触により医療従事者の欠勤が過去最多の503人になりました。経済を止めるとかそういう次元ではなく、まずはエッセンシャルワーカー(社会インフラを維持するのに必要不可欠な仕事)を動かすことが大事。この先、沖縄と同じことが他の都道府県で起きることもあり、深刻な問題として取り組まなければなりません」

 雪見酒で冬を満喫したいなどと、ヌルいことを考えている場合ではないのだ。流行はいつまで続くのか。

「昨年11月にオミクロンが初確認された南アフリカやイギリスはすでにピークアウトしています。日本は1月から始まったので、1月末から2月初旬がピークでしょう」(上理事長)

 じっと我慢しながら雪解けの春を待ちたい。

*正しく恐れる「オミクロン」の処方箋【4】につづく

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