新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに広まった資格習得ブーム。景気悪化懸念などによる雇用不安などを背景に広がりを見せ、コロナ後の現在も活況を呈しているようだ。
11月26日には2024年度の「宅地建物取引士資格試験」の結果が発表され、新たに4万4992人の宅建士が誕生した。合格率は18.6%で、平均年齢は35.9歳。過去12年間の合格率は約15~17%で推移してきたが、今年はついに18%を突破した形だ。
だが、そんな合格率上昇に水を差すような声も少なくないという。今後、さらに合格率が高まれば、宅建士の仕事が激減するというのだ。どういうことか。
「この合格率で推移すると、年間5~6万人ずつ宅建士が増えていくことになります。宅建の資格は不動産業界で就職や転職に有利になると言われる一方、宅建が必須の求人情報はそれほど多くなく、実は仕事がないと言われることもあるんです。将来的な人口減少とAIの活用などもあり、宅建士1人あたりの需要が減る可能性も指摘されていますね」(不動産ジャーナリスト)
ただ、実際には年齢的に引退する宅建士がいることもあり、このままうなぎ上りに宅建士が増えるとも考えにくいようだ。また、
「宅建士には、重要事項説明と書面への記名・押印、さらに契約書への記名・押印という『独占業務』が認められており、これらはAIで代替することはできません。将来的にも不動産需要は低下しにくいことから、宅建士の需要がすぐになくなることはないでしょう」
とはいえ、先々を考えるなら、さらに管理業務主任者やマンション管理士、不動産鑑定士などの資格にチャレンジするのもいいかもしれない。
(ケン高田)