ドイツ・ブンデスリーガのドルトムントに在籍する日本代表MF香川真司の去就が大きな注目を集めており、本人も「確実に(移籍先が)決まると信じています」と語っている。
昨年末にスペインリーグへの移籍願望をハッキリと口にしていた香川。特定のクラブに在籍しながら、他国リーグへの参入をここまで堂々と言い切った日本人選手は珍しいが、2018-2019シーズンの前半戦をほぼ戦力外という立場から傍観せざるを得なかった事実が、彼を焦らせているであろうことは言うまでもない。
森保一監督率いる日本代表でのポジション争いにも参加できておらず、新生サムライブルーには中島翔哉や堂安律、南野拓実といった若き才能が次々と台頭しており、さしもの香川でもベンチが定席となって試合勘が覚束ないままでは、今後も招集の声はかかりそうにない。つまり、香川には継続的な出場機会を得られるような環境が必要であり、すなわちそれはドルトムントからの退団がマストの条件となるのだ。
「ヨーロッパのサッカー界では1月1日から31日までの期間が他チームへの移籍を許される移籍期間となっており、香川はこの機会を逃せば、シーズン後半戦もベンチで過ごす可能性が高く、なんとしてでも1月中にスペインクラブへの加入を実現させたいはず。ただし、大きなネックとなっているのが彼の約7億5000万円とされる高年俸なんです。サッカー選手は全盛期に設定した高額のサラリーを実力が低下した後に下げることを嫌がる傾向にあり、それが足かせとなって第一希望のクラブとの交渉をまとめられないケースがよくあります。7億5000万円というのはヨーロッパでも高額の部類に入り、ベンチを温める機会の多い選手にその金額を支払うクラブは少ないでしょう」(スポーツライター)
とはいえ、29歳という年齢はまだまだ再起が可能な段階でもあり、このままベンチでくすぶり続けるにはあまりに勿体ないとも言える。それだけに、今後は香川自身が高額に設定されたサラリーをいかに引き下げられるかが焦点となるだろう。
ミリ単位の精細なボールタッチと、敵の急所を突く芸術的なスルーパス。香川が本来の輝きを取り戻し、もうひと花咲かせるには、まずは交渉の席で初心に帰る必要があるのかもしれない。
(木村慎吾)