「スーパー変異」が始まる…第6波の不都合な真実(2)国民にデマが刷り込まれた

B 感染症学の立場から付言すれば、このようなエラーカタストロフを招く自滅株は、多くの場合、免疫不全疾患を抱える人の体内で出現します。今回のデルタ株で言えば、従来株が免疫不全患者の体内で途方もなく増殖したり、増殖が沈静化した後も体内で長く燻り続けたりすることで、連鎖的なコピーミスの偶然の産物、結果として自滅株が出現してきたのです。

─偶然なのですか。

A 全くの偶然です。多くの人が誤解していることですが、デルタ株に限らず、ウイルスの変異は全て突然変異であり、全くの偶然によって起こります。たとえて言えばサイコロを振るようなもので、賽の目が1と出るか6と出るか、はたまた3と出るか5と出るかは、ウイルス自身にもわからないのです。

─ということは、第5波が急速な終息へと向かったのも、たまたまだったということになりますが‥‥。

D 完全なラッキーです。にもかかわらず、政府がワクチンの接種率だの、マスクの着用率だの、人流の抑制率だのを終息の理由として喧伝してきたのは、昨年10月に行われた衆院選に向けてのアドバルーン効果を狙っていたためです。つまり、前政権から続けられてきたコロナ対策によって第5波は終息したとのデマを国民に深く印象づけるための策略だったのです。

─その最中、オミクロンショックに不意打ちを食らったということですね。

D 岸田文雄総理(64)をはじめとして、与党は今年7月の参院選までは、このデマとコロナ対策に名を借りたバラマキ政策で乗り切るハラでした。ところが突然のオミクロンショックでアテが外れ、岸田総理とその周辺は早くもうろたえ始めています。なぜなら、与党も政府もデルタ株の時と同じく、いやその時以上に、ワクチン接種やマスク着用や人流抑制などではオミクロン禍を乗り越えられないことを、誰よりもよく知っているからです。

─オミクロン株はそれほど手強い相手なのですか。

A 現時点で唯一、ハッキリわかっていることは、オミクロン株はデルタ株以上に猛烈な感染力を有しているということ。南アフリカでの最初の感染拡大のスピード、さらにその後の世界各国での感染拡大のスピードなどから、その感染力は少なくともデルタ株の4倍を超えると推定されています。そして、そのようなかつてない猛烈な感染力を有するオミクロン株が、デルタ株の自滅で白紙状態に戻っていた日本国内に侵入してきたのです。

A=ウイルス学の専門家/B=感染症の専門医/C=公衆衛生学の専門家/D=政府関係者

(3)につづく

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