今年の「箱根駅伝」は近年にない大混戦となりそうだ。前回王者・駒大、今季のシルバーコレクター青学の2強のみならず、番狂わせを起こしそうな実力校がズラリ。門外不出の激走データをここに公開。
「22年の箱根は駒澤大学が優勝候補筆頭ですね」
語気を強めて母校の総合優勝を予想するのは、プロランナー・川内優輝のモノマネでおなじみの芸人・M高史氏。駒大OBで、現役時代は駅伝主務を務めた情報通だ。
往路3位から最終10区で劇的な逆転Vを果たした前回大会から1年。21年度は三大駅伝の初戦・出雲駅伝で5位、続く全日本学生駅伝では優勝したが、いずれもベストメンバーにはほど遠い陣容だった。
「1万メートルの記録で27分41秒と、チーム2位の記録を持つ『熱海の貴公子』こと鈴木芽吹(2年・以下選手名、敬称略)が夏に右大腿骨を疲労骨折。その次にタイムの速い唐澤拓海(2年)も出雲駅伝で調子が出ずに全日本を欠場しました。その他にも主力選手が離脱する中で、花尾恭輔(2年)や佐藤条二(1年)ら下級生が台頭して全日本V。大八木弘明監督(63)と元男子マラソン日本記録保持者の藤田敦史ヘッドコーチ(45)の指導により、才能がメキメキと開花しました」(M高史氏)
伸びしろは天井知らず。さらに駒大を最強たらしめるのが、3年生にして主将の大エース・田澤廉の存在だ。スポーツ紙デスクが解説する。
「12月4日に開催された『日体大長距離競技会』の男子1万メートルで日本歴代2位、日本人学生最高となる27分23秒を記録。22年のオレゴン世界選手権で標準記録を突破しました。そんな田澤に憧れて入学した鈴木(芽吹)も、コンディションは上々。高校時代に佐久長聖名物のクロスカントリーコースで鍛え抜かれ、高低差のある箱根路への適性は十分。田澤との2大エースで連覇は確実です」
藤色のタスキの独走に待ったをかけるのは、大学長距離界のエリートを多数抱える青山学院大だ。
「私が現役だった15年前は、1万メートルで28分台を出せばエース格の扱い。ところが、青学には28分台の選手が23人もいる。16人のメンバーから漏れた給水係の選手でも、他大学ならエースを狙える逸材かもしれない」(M高史氏)
とはいえ、今季は出雲、全日本ともに2位と、「無冠低迷」から脱していない。その裏には、選手層の厚さが招いたチーム内バトルが影響しているようで、
「青学の場合は16人のメンバー入りが大きな関門になります。そのため、部内選考の時点で燃え尽きてしまう選手もいるとか。しかも、今年は『例年より1カ月仕上がりが早い』という声も聞かれる。本番を前にピークアウトしなければいいのですが‥‥」(スポーツ紙デスク)
しかしご安心を。日本インカレ男子5000メートルで優勝した近藤幸太郎(3年)が、不安を一蹴する走りを見せよう。
「絶対的エース不在と言われる今季の青学で、5000メートル(13分34秒)と1万メートル(28分10秒)の学内記録を更新。全日本では長距離区間の7区で田澤に食らいつき、区間2位を獲得しました。結果はわずか8秒差で駒大に敗れましたが、アンカーで悔しい思いをした飯田貴之(4年)も箱根での雪辱に燃えているでしょう」(M高史氏)
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*【2】につづく