緊急事態宣言は解除されたが、いまだ東京都は東京アラートを発令して“3密”を避けるよう呼びかけている。そのような状況の中、6月6日の東京都内各地のパチンコ屋には開店前から行列ができ、とある大型店には数千人もの客が集まったようだ。これにネット上では《密ができている》《クラスターが発生しそう》と批判の声が殺到した。
「コロナは心配だけれども…」と、パチンコで生計を立てている“パチプロ”の男性はそれでもパチンコ屋に通う理由があると言う。
「パチプロはコロナの影響で稼げなくなっても何の補償も受けられません。パチプロは確定申告をしてない人が多く、仮に申告していたとしても事業所得として申告している人はほぼいないと思います。なので持続化給付金などの補償の対象外なのです。そのような理由もあって、パチンコをやめると減収をダイレクトに受けることになってしまうのです。近年、パチンコは『小さく勝って小さく負ける』ように規制が進んできました。昔に比べて、負けている人たちの負け額が減った代わりにパチプロたちの収入も減ってしまいました。月20万円ほどで生活しているプロも多く、貯金もない状況のプロも多いため、このような時期でもパチンコをやめるわけにはいかないのです」
そんなジリ貧のパチプロたちにとって6月6日は特別な日であったようだ。
「6月6日は我々たちにとっては『現金配布日』のようなものだったんです。スロットには1から6までの6段階の設定があるんですけど、この設定が高ければ高いほど『勝てる』台なんです。6月6日は最高設定である“6の台”をいつもよりたくさん置くホールが多く、1年でも最も勝てる日だったんです。それでみんな、入場抽選を受けるために行列を作っていたんです。今回私たちを非難している人たちの中にも『抽選で現金が配布される』となったら行列を作る人がいっぱいいると思いますよ」
一方でパチンコホール側は、マスクの着用の要請や頻繁な換気、こまめな台の消毒などコロナ対策に努めながら営業をしている。ただ、コロナ禍で槍玉に挙げられがちなパチンコだけに、今後は行列をなくすためのオンラインでの入場抽選を徹底するなど、より一層コロナと上手に付き合うことが求められそうだ。
(浜野ふみ)