日ハム「新庄監督」の球界スペクタクル革命(1)稲葉GMが監督要請に難色で

 3年連続Bクラスに低迷するチームの再建は、球界一のエンターテイナーに託された。東京五輪を制した新GMとの〝腹心タッグ〟に期待は高まるばかりだが、いささか人気先行人事なのは否めない。深刻なファン離れをV字回復させるべく、救世主が繰り出すアノ手コノ手の「奇策」に迫る。

 モクモクと湯気立ち上る浴場で、カメラに向けてポージングを決めるブーメラン型アンダーウエア一丁の選手たち。撮影場所は、23年に開業する日本ハムの新球場「エスコンフィールド北海道」に設置された温泉施設だ。

「イイね〜キレてる、キレてるよ!」

 と言わんばかりに、真っ黒に日焼けした男が白い歯を光らせて仁王立ちしていた。齢50を超えたにもかかわらず、現役選手よりも鍛え抜かれた腹筋はエイトパックにバッキバキ。まさにこの男こそ、日本ハムの新監督・新庄剛志(49)なのである─。

「これは23年シーズンに販売予定の球団カレンダーの絵コンテです」

 こう明かすのは、球界の仕事を請け負う広告代理店関係者だ。

「新球場のレフトスタンド上段には、天然温泉エリアが設置される計画。そのPRを兼ねて、選手たちのお風呂カットをメインにしたカレンダーの製作が水面下で進められています。注目すべきは『一番のファッションは体だからね』と、自身のSNSにも筋トレ動画を投稿している新庄監督の肉体美です」

〝瓢簞から駒〟なニュースがいきなり報じられたのは、10月23日。寝耳に水の一報に、球団内は驚天動地の様相だった。球団関係者が明かす。

「スタッフのほぼ全員が、『新庄監督有力』というスポニチのスクープを読んで知りました。それもそのはずで、このオファーは本社サイドから出されたもの。本来は、今季限りで監督を退任する栗山英樹氏(60)を新GMに据えて、稲葉篤紀氏(49)を新監督に迎える算段でした。ところが、吉村浩GMとの交渉のテーブルにつくや、稲葉氏は監督要請に難色を示したといいます。東京五輪の代表監督としての心労を理由に、休養期間を求めたとか」

 そこで、吉村GMは交渉内容を変更。代替案として、稲葉氏に新GM就任を打診したというのだ。

「栗山氏はかつて監督就任の際に『根本陸夫になりませんか』と、監督を経てからGMに転身する筋書きで吉村氏から口説かれた。その梯子を外された形ですが、稲葉氏は本社サイドに覚えがめでたい。問題なく新GMとして了承されました。しかし、今度は新GMが提案する番。稲葉氏の口から『新庄新監督』が発案されたんです。そのアイデアに、本社サイドが前のめりで便乗した」(球団関係者)

 新庄といえば、04年の北海道移転元年に電撃加入。06年にはチームを25年ぶりのリーグ優勝、44年ぶりの日本一に導いて引退した功労者だが、

「球団内には『あんなチャラついた奴と仕事はできない』と、早くも〝新庄アレルギー〟が発生している。そもそも、稲葉氏に断られた場合の次期監督候補は、五輪でも監督を支えた金子誠コーチ(45)だった。吉村GMは事前に球団内の反発を予想して新庄案を拒否する姿勢を見せたのですが、本社サイドから3年連続Bクラスに低迷した『育成とスカウティングの失敗』と『中田翔暴行事件』におけるイメージダウンの責任をチラつかされ、やむなく親会社の意向を飲まざるをえなかったといいます」(球団関係者)

 かくして、北海道移転の際にチームをもり立てた盟友、稲葉GMと新庄監督の夢のタッグが復活したのである。

*「週刊アサヒ芸能」11月11日号より。(2)につづく

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