「吉野家」3年目の親子丼に立ちふさがる「なか卯」30周年の壁

 牛丼チェーン「吉野家」は4月11日より3年連続での登場となる「親子丼」を一部を除いた全国の店舗で今年も販売する。春の定番限定メニューとして定着させたいところだが、最強のライバルである「なか卯」の「親子丼」が分厚い壁となって立ちはだかる。

「吉野家の親子丼は10年かけて開発したというこだわりのメニューで、2022年4月に当時の常務が早稲田大学の講義で『生娘シャブ漬け戦略』と発言して大炎上している最中に初めて発売されました。強い逆風の中でしたが、商品はわずか2ヶ月半で400万食を売り上げる大ヒットを記録。吉野家の窮地を救ったことでも大きな注目を集めたのです」(フードライター)

 翌23年の4月にも親子丼は再販される予定だったが、鳥インフルエンザの流行などによる卵価格の高騰で見送りとなり、結局は同8月に時期をずらして前年より110円値上げしての販売となった。そして、そんな2年目の吉野家の親子丼の前に立ちはだかったのが、なか卯の親子丼だ。なか卯は卵価格が高騰して各社が卵を使用した商品の取り扱いを休止する中で、なんと490円だった商品を450円に値下げ。話題をさらっていったことで、吉野家の親子丼は1年目ほど注目を集めることはなかったのである。

「今年の吉野家の親子丼並盛は前年から価格を据え置いて547円としました(大盛は30円の値上げ)が、なか卯も引き続き親子丼並盛を450円で販売しているので、コストパフォーマンスではなか卯の圧勝ですね。また、昨年は吉野家となか卯の親子丼を食べ比べした感想を多くの人がSNSなどに投稿していましたが、そちらでもなか卯を評価する声の方が優勢だったように感じます。吉野家は商品開発に10年かけたことを強調していますが、なか卯は親子丼の販売を開始してから今年で30年が経ちますから。もしかしたら、吉野家の親子丼の販売期間中に30周年イベントをぶつけてくる可能性もあるので、今年もなか卯に親子丼の話題を持っていかれてしまうかもしれませんよ」(同)

 吉野家の親子丼は手強いライバルを打ち砕き、「マクドナルド」の「てりたまバーガー」のように春の定番商品になることができるのだろうか?

(小林洋三)

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