大手牛丼チェーン「吉野家」を運営する吉野家ホールディングス(HD)は4月13日、2021年2月期(20年3月1日~21年2月28日)の連結業績を発表し、純損益が75億円の赤字だったことを明らかにした。前期は7億円の黒字だっただけに、驚きの声が相次いでいる。
「コロナによる営業の自粛や時短営業を受けて、同期の売上高は1703億円で前年同期比21.2%減となりました。また、業績の悪化を受けて国内外の不採算店150店舗を閉店させたこことにより特別損失を計上したことも響いたと見られています」(経済ジャーナリスト)
「吉野家」がコロナ禍に弱かった原因には、テレワークやオンライン授業が普及したことで、メインターゲットであるサラリーマンや学生の利用が激減したこともある。同チェーンは特にオフィス街での売り上げが大幅に落ち込み、緊急事態宣言解除後も客足の戻りが弱かった。ただ、ネット上では《「吉野家」は昔からテイクアウトに対応してたし、デリバリーも積極的にやってる。それでもここまでの赤字になるのはなぜと思ってしまう》《そもそも「吉野家」は家族連れより一人や少数での利用がメインだし、他の飲食チェーンに比べても感染の可能性は低そうだが…》と大幅赤字が理解できないとの声も多く見られた。
「他にも『吉野家』が75億円の赤字に陥った理由はいくつかありますが、ヒット商品がなかったことも大きいのでは。同チェーンは19年2月期にも60億円の最終赤字を記録していますが、翌20年2月期には7億円の黒字にV字回復しており、その要因として『超特盛』や『小盛り』『ライザップ牛サラダ』など大ヒット商品が続々と誕生したことが挙げられます。しかし、今期はこれといった新たなヒット商品はありませんでした。テイクアウトやデリバリーで“SNS映え”するデカ盛りメニューが支持されるなか、特に目新しさのない『吉野家』はステイホームでの利用には選ばれなかった面も影響しているのかもしれません」(経営コンサルタント)
吉野家HDによれば、22年2月期には20億円の黒字転換を見込むというが、果たして…。
(小林洋三)