流通大手のイオンが14日、100円ショップを展開するキャンドゥ(東証1部)のTOB(株式公開買い付け)を行うと発表。12月下旬までの間、2回に分けてキャンドゥの株51%を取得し子会社化することを目指すという。
「一部報道によれば、イオンが買い付けるキャンドゥ株は1株2700円。筆頭株主のキャンドゥ社長と親族はすでにTOBに応じ、19.68%分をイオンに売却することで合意ずみで、継続して計37.18%の取得を目指すとされています。さらにTOB後には、イオンが13.82%分を追加取得し、総額210億円で過半の51%の株式を取得することで、キャンドゥがイオン傘下に入り上場を維持することになる模様です」(小売業に詳しいライター)
キャンドゥは、創業者の城戸博司氏が1993年に、埼玉県戸田市に資本金1000万円で設立。埼玉県蕨市に1号店となる蕨東口店を開店するや、右肩上がりに業績を伸ばした。
「その後、関西を中心に店舗展開する100円ショップ『クリスタルショップ』の全株式を取得し子会社化。さらに、100円ショップ『オレンジ』の関西地区の店舗を事業譲受するなど、関西地区の店舗網を増やし、全国へと店舗を広げていくことになります」(同前)
そんなキャンドゥの2020年11月期の売上高は730億円で、これはダイソー、セリアに続き、業界3位となるが、
「同社はマスコットキャラクターに『はっ犬ワンドゥ』という犬を起用。キャッチフレーズを『まいにちに発見を。』として、他の100円ショップにはないオリジナルの製品の販売を数多く手がけてきました。ただ、コロナ禍での巣ごもり生活もあり、100円ショップの競争が激化。イオン傘下に入ることで、出店数増加や物流の効率化が見込めるはずですから、今後は1位のダイソーを脅かす存在になるかもしれませんね」(同前)
ただイオンの店舗には現在、キャンドゥのほか、ダイソーやセリアなど同業他社が出店しているところもあり、SNS上には、《100均のオリジナル商品企画物はキャンドゥが断然面白い!うれしいです、期待していますよ》という声とともに、《やっぱり、既存のダイソーやセリアは追い出されちゃうのかしら?》《キャンドゥも嬉しいけど、ダイソーは無くなるの痛いなぁ》という不安の声も多く、さらには《思い切ってダイソーもセリアもキャンドゥもある店舗を作ってほしい。100均で探し物をする時、一緒にあったらと毎回思うのは私だけ》といったコメントも。
イオンからは現時点で、既存の店舗についての発表はないが、キャンドゥの子会社化で100円ショップ競争がさらに激化することは間違いなさそうだ。
(灯倫太郎)