錦秋の候、女子ゴルフ「賞金女王レース」が佳境を迎えている。トップは2億円突破で独走状態の稲見萌寧。これを猛追するのが、同世代のうら若き4人の1億円プレーヤーたちだ。苛烈を極める大混戦の中、グリーンでは決してミスショットしない裏素顔を完全中継する!
異例の20〜21年と2年越しで開催されている女子ゴルフツアーも、残り8戦。しかし、すでに1億円の大台を突破した日本人だけで5人の選手がひしめく大混戦。注目の賞金女王争いは、2億円超えの超ハイレベルの攻防なのだ。
ゴルフ評論家の宮崎紘一氏が感嘆する。
「今の女子プロはまさに百花繚乱です。人気、実力、そして勝負に対する貪欲な執着心は男子プロ顔負け。しかも、弱冠20歳そこそこの若い選手ばかりが1億円プレーヤーとなっているのですから、まさに目が離せない状態です」
その中でも宮崎氏が手放しで高評価するのが、8月の東京五輪で銀メダルを獲得し、日本人ゴルファー初の五輪メダリストになった稲見萌寧(22)だ。
「稲見の強さは、ドライバーショットからパッティングまでスキのないプレーです。普通なら強く打とうと思ってスイングが速くなったり、力んだりしてしまいがちですが、常に安定している。まさに異次元の強さで、抜け出した感があります」(宮崎氏)
19年シーズンはわずか1勝。それが2年足らずでトッププロに躍り出た理由を、スポーツ紙ゴルフ担当記者が明かす。
「精密なショットを育てた原点は、ショートコースにあります。ジュニア育成に力を入れ、池田勇太(35)などを輩出した千葉のコースで、稲見は小学校が終わったあと、ナイター照明が灯る時間までコースをグルグル回っていた。このショートコース通いで卓越した距離感を身につけたわけです。数年前『ものすごい練習量の女子高生がいる』というウワサを聞いていたんですが、まさかメダリストが誕生するとは‥‥」
プロになっても「練習の虫」に変化はない。ゴルフ専門誌カメラマンが語る。
「選手の多くは月曜日を休養日としていることが多いのですが、稲見の場合は休みナシ。しかも、今オフからは下半身強化のため、キックボクシングによる筋力トレーニングを取り入れています。スイングのようにハイキックを繰り出す激しい練習で、瞬発力と体幹を鍛え上げた。本人が『服のサイズがMからLになった』と話すように、臀部と太腿がプリプリッとひと回り大きく成長しています」
そのかいあって、五輪前に計6勝の好成績をあげ、海外ツアーを優先した渋野日向子(22)を逆転して夢の五輪チケットを獲得した。
「日本代表チームは埼玉で男女合同合宿を行っていたのですが、稲見は五輪の前の週、神戸で行われた国内ツアーに出場し、再び埼玉へトンボ返りしてメダルを獲得した。まさに驚異的な体力とメンタルの持ち主です」(ゴルフ担当記者)
さらに9月の「日本女子プロ選手権」で国内初のメジャー制覇。世界から国内ツアーに戻っても〝おかえり萌寧〟に死角ナシだ。
*「週刊アサヒ芸能」10月14日号より。(2)につづく