フリマアプリ大手の「メルカリ」が、9月20日の敬老の日から、60歳以上のアプリ利用促進を目的に「60歳からのメルカリセット」を、ウエルシア薬局96店舗とメルカリステーション全11店舗で配布を開始したが、これにある指摘が相次いでいる。
メルカリが実施したアンケート調査によれば、60歳以上の利用者がつまずくポイントの1位は配送方法の選択だったことから、初めて出品をする人でも分かりやすい「配送方法&料金早わかりチャート」を作成。さらに出品の手順を説明した「はじメル本」、小物などを入れて発送するだけの「クッション封筒」をまとめたセットを制作したという。
同日には都内でお披露目イベントが開催され、歌手の美川憲一が初めてのメルカリ出品に挑戦。悪戦苦闘しながらも過去に約30万円で購入したプラダのバッグを3万円で出品して開始わずか5分で落札され、「まあ、簡単じゃない。クセになりそう」などとアピールしていた。
しかし、「60歳からのメルカリセット」にネット上では、《中高年層への利用を促すのがいいが、その前に詐欺への対策が先じゃないか?》《メルカリに60歳以上の利用者が増えたら、確実に詐欺のターゲットになると思う》《自分の父親や母親がメルカリやりたいと言い出したら、全力でやめろと説得するわ》《年配の人が出品しても値下げ交渉やクレーマーにやられてパニックになるだけでは》といった意見が多く見られる。
「国民生活センターの発表によると、2020年度に全国の消費者センターなどに寄せられた60歳以上からの通信販売の相談件数が過去最多となっていて、特にネット通販によるトラブルが多かったことが明らかになっています。新型コロナウイルスの感染拡大による在宅時間の増加で、これまで利用してこなかった中高年がネット通販を始めたことでトラブルが相次いだとみられているため、60歳以上に『メルカリ』の利用を促すのであれば、それ以前にトラブルが起こらないような十分な対策が必要です」(ITジャーナリスト)
「メルカリ」では、落札したはずなのに商品が届かない、料金を二重払いさせられた、ブランドの偽物が届いたなど、詐欺の報告も少なくない。また、今年5月にはアプリ利用者の銀行口座番号などの個人情報が2万700件以上漏洩していたことも明らかになったばかり。60歳以上が利用して被害に遭った場合、解決を本人に丸投げなどということがないようにお願いしたいものだ。
(小林洋三)