次世代型コンコルド?「超音速旅客機」が2029年に復活か

 かつてニューヨーク~パリ・ロンドンなど大西洋路線などで活躍していた超音速旅客機コンコルド。しかし、燃費の悪さや騒音問題、00年の墜落事故などの影響により、03年で惜しまれつつも全機が退役していた。

 そんな中、米国の新興航空機メーカー、ブーム・スーパーソニック社が「オーバーチュア」と名付けた超音速旅客機を開発。25年までに完成する予定で、試験飛行を経て29年からの旅客運航の実施を計画している。

「同機の最高速度は現在の旅客機の倍以上に相当するマッハ1.7(時速約2083キロ)になる見通しです。実用化されたらニューヨーク~ロンドンは3時間半、サンフランシスコ~東京も6時間とフライト時間は大幅に短縮される予定です」(航空ジャーナリスト)

 ちなみに航続距離は7870kmで、飛行中の最高高度は現行機を大きく上回る1万8000メートル。当然、騒音にも配慮されており、二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロに抑えるという。

「機材は最大88人乗りで、通路を挟んで1席ずつという配置。全席ビジネスクラス以上の運賃となることが想定されています。それでも短時間での移動が可能となるため、かつてのコンコルド同様、出張のビジネスマンなどの需要はあるはず。実際、米大手エアラインのユナイテッド航空は、同機を15機導入することをすでに発表しています」(同)

 ちなみにブーム・スーパーソニック社にはJALも出資。6月に行われた株主総会では「今のところ、超音速旅客機の発注については何も決まっていない」と回答していたが、「引き続き株主として応援していきたい」ともコメントしており、JALが将来的にオーバーチュアを購入する可能性は大いにありそうだ。

 一度は消えた超音速旅客機。だが、30年近い時を経て、バージョンアップされた機材が再び世界の空に飛び立とうとしている。一度でいいからいつか乗ってみたいものだ。

(高島昌俊)

ビジネス