線路侵入撮り鉄の「写真を高く売りたかった」供述の違和感、本当の狙いは?

 今年3月、特急「踊り子号」で運用されていた車両「185系」を撮影するために、東京都日野市のJR東日本の敷地内に入った撮り鉄の男性2人が、9月9日に鉄道営業法違反容疑で書類送検された。

 2人は廃車回送される185系を撮ろうと、多摩川の川べりから石垣を登って線路の間に入り、185系の通過を待機。185系より前に通過した快速電車の運転士が侵入に気づき、車両を緊急停止させたという。その影響で中央線が30分にわたって運転を見合わせた。

 2人のうち愛知県出身の男性が侵入の理由を「高く売れる写真を撮りたかったから」と警察に話しているという。この供述に対して疑問の声が上がった。

「高い安いの前に鉄道写真はまず売れません。時刻表や旅行誌などの表紙で使われる写真はプロカメラマンのもので、一般の撮り鉄の写真が採用されることはありません。では鉄道雑誌の写真はどうかといえば、すべて投稿された写真でお金が支払われることはない。鉄道写真がストックフォトなどで販売されることもありますが、売れて儲かったという話は聞いたことがないですね」(鉄道ライター)

 また撮影した車両からも販売するつもりではないことがわかるという。

「廃車される列車は回送される時が撮影する最後のチャンスです。このような列車は撮り鉄の間では『ネタ』と呼ばれ、撮り鉄には重要ですが、一般的には価値がありません。つまり、撮影しても雑誌などに売れることはない。2人の男性はそれを絶対に知っているはず。『高く売れる写真を撮りたい』という供述は嘘でしょう」(前出・鉄道ライター)

 もう1人は「人と違う写真を撮りたかった」と供述しているそうで、本心はこちらと見るのが自然だろう。撮った写真を鉄道雑誌に投稿したり、SNSで披露して自慢したかったのかもしれない。

「写真を見ればどこから撮影したのかすぐにわかります。入ってはいけない場所から撮影したとなれば、雑誌に投稿しても採用されませんし、SNSに上げれば非難が殺到します。1人でこっそり楽しむしか、できることはありません。法を逸脱する行為をしてまで撮影してもいいことはない。それに早く気づいてほしいですね」(前出・鉄道ライター)

 何かと問題を起こすことが多い撮り鉄。分別を働かせて趣味を楽しんでほしいものだ。

ライフ