一部の不届き者のおかげで、今やすっかり「お騒がせ」のイメージが定着してしまった「撮り鉄」。さほど電車の写真に興味がない者としては、なぜルールを守らないのか不思議でならないが、今度はその撮り鉄同士でバトルが繰り広げられている。
ことの発端はある撮り鉄の訴えだった。
「新村カーブこれなんですけど、どうしてくれるんですか? ナンバー控えてあるんですけど、僕の試運転カットどうしてくれるんでしょうね~」
新村カーブとは、長野県の松本駅から新島々駅までを結ぶアルピコ交通「上高地線」の新村駅付近にある撮影ポイントのことで、どうやら沿線に住む撮り鉄が、ここで場所取りをしていたようだ。
ところがお目当ての電車が来た途端、他県ナンバーの車が道路に侵入し、中からメガネをかけた撮り鉄が現れ、写真に映り込むハプニングが発生。撮影を邪魔された撮り鉄は「人のファインダー遮って立つなんて有り得ない」と大激怒だった。
たしかに撮り鉄の言い分もわからなくはないが、その後の発言が、騒動の火に油を注いでしまった。
「示談しようとしたら逃げられた」
撮影場所が私有地ならともかく、公道上で事故を起こしたわけでもないのに、「示談」のワードが飛び出したことで、静観していた他の撮り鉄から一斉に「示談ってなんだよ!」「何の罪に問われているのでしょうか?」「公道に三脚設置している時点でアウト」などといった声が殺到。炎上に発展してしまったのだ。
どうやら問題の撮り鉄は、自分の理想のカットが潰されたことで、写り込んだ相手に状況説明や賠償責任を求めるつもりだったようだ。
一部撮り鉄からは「どんな構図であろうが、撮り鉄の中では先に構えてる人が優先」と理解を示す声も上がっているが、本人所有の土地ならばまだしも、公道ではいつ誰が現れても不思議ではないだろう。そもそも写り込んだのが、たまたま付近を散歩している地元住民だったらどうなっていたのか。
ツイートが拡散したのか、その後、この撮り鉄は「今回の件でご迷惑を被られた方にはお詫び申し上げます」と謝罪している。
「撮り鉄」と一括りにしてしまいがちだが、きちんとルールを守った上で撮影している人がほとんどだ。SNSは本人の意図せぬところで拡散する可能性もあるため、言葉選びには慎重になる必要があるだろう。
(ケン高田)