大阪大学が先ごろ、培養肉に筋や脂肪、血管ファイバーを金太郎飴のように統合し、和牛のサシまで3Dプリンターが再現する「3Dプリント金太郎飴技術」を開発したと発表した。
現在、約79億人の世界人口は2050年には97億人に到達すると予想されている。そのため今の食肉供給では人類が必要なタンパク質を賄えない「タンパク質クライシス」が起こると言われ、アメリカを中心に「代替肉」などの開発が活発になっている。そんな中、牛などから取り出した細胞を人工的に増やして食肉を作り出す培養肉の技術にも注目が集まっている。
しかし、これまでの培養肉は赤身となる筋肉の細胞からのみ作られた筋繊維のみで構成されたばらばらのミンチ肉のようなものがほとんど。そこで、大阪大学や凸版印刷、リコー、キリンホールディングスなどが協力して、培養肉に筋や脂肪、血管ファイバーを統合して金太郎飴のように繊維を束ねて3Dプリントし、サシの入ったステーキのような培養肉を作り出すことに成功したというのだ。
「これまでの培養肉は繊維がそろっておらず、食感も味わいも決して良いとは言えませんでしたが、『3Dプリント金太郎飴技術』で作られた培養肉は繊維も同じ方向にそろっていて、実際の肉のような食感や味わいが実現出来るといいます。ただ、3Dプリンターで肉を作ることから、ネット上では《和牛っぽく作れたからって味が和牛のように美味しくなるとは思えない》など否定的な意見も見られます。しかし研究チームによれば、さらに技術の改善がすすめばサシの入り具合の調整が可能となり、微妙な味や食感をカスタマイズできるようになるとも説明しています。生きた牛はサシの入り具合などもちろん調整は出来ませんが、『3Dプリント金太郎飴技術』を用いた培養肉ではそれが可能になるので、培養肉の方が天然の牛肉よりも美味しいものが作れる、という未来がやってくるかもしれません」(フードジャーナリスト)
培養肉が主流となる時代がもうすぐそこまでやって来ている。
(小林洋三)
*写真はイメージ