「スシロー」も参入表明!3Dプリンターで作る「培養トロ」のお味とは?

 回転ずしチェーンに細胞を培養した寿司ネタが並ぶ日は、そう遠くないかもしれない。

 環境破壊や乱獲による水産資源の減少に備え、米国企業を中心に細胞を培養して作る「培養魚肉」研究が盛んに行われている。昨年12月には、回転ずしチェーン「スシロー」を運営するフード&ライフカンパニーが、米企業と業務提携し培養魚肉の共同開発に乗り出すことを発表。各社の「培養魚肉」開発競争が俄然盛り上がりをみせているという。

 培養魚肉とは、おおざっぱに言うと、生きた魚の細胞に養分の入った培養液を与えて大きくするというものだが、

「作り方に関しては各社の企業秘密ですが、基本的にはまず対象魚の細胞を採取し、アミノ酸やミネラル、たんぱく質などの栄養分を加えた培養液へ。数週間培養したあと専用容器に移し、小刻みに振動を与えながら数週間待つというもの。培養サーモンの開発に成功した米『ワイルドタイプ』社では、試食会で培養サケの握りずしを提供したところ、味、食感ともに本物のサーモンとほとんど変わらないと大好評だったようです。ただ、販売すれば一貫3千円超えとなり、今後はコスト面と安全面が大きな課題になるとしています。日本でも、マルハニチロが東京のベンチャーと共同で培養魚肉を開発中で、3年後には冷凍食品や缶詰での商品化を目指しているとのこと。さらに、スシローでは高値で取引されるクロマグロの希少部位『トロ』の開発を始めたそうですから、『培養魚肉』実用化に向け開発競争が激化することは間違いないでしょう」(食品業界に詳しいライター)

 最新の研究によれば、底引き網漁に使われる漁船の燃料による、年間に排出する二酸化炭素は推定1ギガトン。この排出量は航空業界に匹敵するレベルだといわれる。

「つまり、培養技術で魚肉が出来れば、漁業による二酸化炭素排出を大幅に削減できるだけでなく、水産資源の乱獲も防げます。現時点では培養魚肉の研究開発は米国が群を抜いていますが、日本からもどんどんスタートアップ企業が出てきて、一日も早い実用化を期待したいですね」(同)

 ちなみに、培養魚肉の成形には培養牛肉と同様、3Dプリンターを使うケースが多いというが、形はともあれ、培養「トロ」の味が気になるところだ?

(灯倫太郎)

ライフ