阪神ベンチも衝撃を受けた“助っ人頼み”の打線変更

 阪神の首位陥落は、打線の低迷に尽きる。9月1日の対中日16回戦で、打撃不振の大山悠輔内野手を「スタメン三塁」に戻したが、ここに矢野燿大監督の苦渋の様相が伺える。

「前日の同カードで、矢野監督は『3番・三塁マルテ、4番・一塁サンズ、5番・左翼ロハス』のクリーンアップを組みました。そのロハス・ジュニアがお粗末な守備をし、1日のスタメンから外されたわけですが」(在阪記者)

 大山、佐藤輝明の両方がスタメンから外れたことに衝撃を受けたが、阪神ナインも“別の事情”で戸惑いがあったようだ。

「外国人選手3人でクリーンアップを組んだのは、打線を勢いづけるため。その是非はともかく、問題は3人の外国人選手の守備位置ですよ」(球界関係者)

 同日、一軍に昇格したマルテが三塁に入った。マルテがサードを守るのは、二軍戦を含めても“今季初”。「大丈夫かよ!?」の不安はもちろんだが、矢野監督がそのリスクをおかしてまで“外国人クリーンアップ”を組んだことで、「こんなに苦しいのか…」と阪神ナインを精神的にも追い込んでしまったそうだ。

 案の定というべきか、マルテは7回表の守備で、中日の俊足・高松のセーフティバントの処理を誤っている。その高松の出塁が中日の勝ち越しにもつながっている。ロハス・ジュニアのお粗末な守備だけがクローズアップされたが、実際は「今季初三塁のマルテ」のほうがチームにダメージを与えていたわけだ。

「大山、佐藤はここ連日、早出特打ちを続けています」(前出・在阪記者)

 大山も復調のきっかけを掴んでのスタメン復帰ではない。

 同日、先発した青柳晃洋はゴロ・アウトを積み上げていくタイプだ。“急造三塁手”への不安が「5回5失点」という、らしくないピッチングにつながったのではないだろうか。

(スポーツライター・飯山満)

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