「トラの近未来像」が披露された。エキシビジョンマッチ3試合目の7月29日(対千葉ロッテ)、矢野燿大監督は佐藤輝明選手をスタメン・サードで起用した。
「一塁に大山悠輔選手を入れました。『一塁・大山、三塁・佐藤』の布陣は、これまでも多くのOBが進言してきました。サンズやマルテをスタメンから外すわけにはいかず、ようやく実現しました」(在阪記者)
エキシビジョンマッチ3戦目、サンズを休養目的でスタメンから外した。「一塁・大山、三塁・佐藤」が実現したのはそのためだが、佐藤を打撃不振から脱出させるためにも、この布陣を続けるべきだろう。
「三塁の守備は、ハッキリ言って、佐藤のほうが巧い。佐藤の外野からのスローイングを見ていると、完全に内野手の投げ方。頭上を超えていく飛球を追い掛けるのもあまり上手ではないし、本人も気にしています。打撃に集中させるため、慣れ親しんだサードを守らせるべき」(プロ野球解説者)
しかし、意見が分かれるのが打順だ。矢野監督はやはり前半戦途中から失速した大山を立ち直らせるため、エキシビジョンマッチも4番で使い続けており、佐藤には3番を打たせている。
「1番・近本、2番・糸原、3番・佐藤では左バッターが3人並んでしまいます。3番・佐藤はエキシビジョンマッチだけでしょう」(前出・在阪記者)
左バッターが3人も続くリスクは否定できない。また、矢野監督は「佐藤は3番タイプではない」とも見ており、同時に「ルーキーイヤーの今年は負担の少ないところで」と考えているそうだ。もっとも、阪神OBのなかには「4番・佐藤、5番・大山」の打順を推す声もあれば、「3番・佐藤、4番・大山」の意見も出ている。
佐藤の打順で、OBやプロ野球解説者たちが意見してくるのは、「大きく育てたい」との思いに尽きる。今のところ、矢野監督と意見が一致しているのは、「一塁・大山、三塁・佐藤」の守備位置だけだ。
「サンズも前半戦途中から打撃面で調子を落としています。好調を維持してきたのは、マルテだけ。ロハス・ジュニアもこの先、爆発的な活躍をするとは思えません。後半戦、佐藤を3番か4番で使わなければならない場面も出てきそうです」(ベテラン記者)
佐藤は5月2日の広島戦で初めて4番に入った。大山の故障離脱もあって、計11試合、主軸を務めており、違和感はなかったが…。
左バッターが3人続くリスクを避けるため、「3番・大山、4番・佐藤」の打順も見られるかもしれない。後半戦は、佐藤と大山の打順を巡る議論も繰り広げられるだろう。
(スポーツライター・飯山満)