「(衆院選に)出て、国会に戻ってこられるならば、それも大いに歓迎だ!」
自民党の二階俊博幹事長が8日、CS-TBS番組の収録で、東京都の小池百合子知事の国政復帰に関して問われ、そう発言したことで永田町が大きく揺れている。
4日投開票の東京都議選。事前予想では「獲得議席は一ケタの大惨敗。下手をすれば解党」との声もあった「都民ファーストの会」だが、蓋をあけると31議席を獲得。選挙後には当選都議による無免許運転事故のドタバタはあったものの、大劣勢予想を覆し、さらに自民・公明両党による過半数獲得を阻止できた背景には、やはり、特別顧問を務める小池氏の存在が大きかったことは間違いない。
全国紙政治部記者が語る。
「実は都議選前に自民党が行った直近の獲得予想では50議席、最低でも40以上は獲れるという数字が出ていたんです。ところが、小池氏が過労で入院した6月22日からの8日間で選挙の空気がガラッと変わってしまった。あの強気だった小池氏がメディアの前で弱った姿をみせ、退院後の会見では『倒れても本望』と語ったことで世論の同情が集まった。しかもそんな体調の中、最終日には10カ所近い選挙区を回り候補者の激励。演説はしませんでしたが、その効果は絶大だったというわけです」
そこは小池氏ならではの勘なのか、はたまた計算があったかどうかはわからないが、結果、有権者からの同情票が集まり、自公を大敗北に追い込んだわけだが、そんな『小池人気』を利用し、将来の党総裁選などのカードとして温めている、とされるのが自民党の二階幹事長だ。
「二階氏は出演した番組で、小池氏の都知事転身を振り返り、『人に頼ることなく手を挙げて知事を目指し、多くの人が拍手を送った。彼女の優れた政治経験で十分計算した結果。見事だ』と絶賛。終盤で都民ファ候補を激励したことに関しても『全体を見通して計画的にやっている。(自民党の)負けは負けだ』と語っています。二階氏は小池氏と頻繁に会談しており、良好な間柄であることは事実ですが、ここまであからさまに褒める裏には何らかの思惑があるはず。永田町関係者の間ではそれが、小池氏を抱き込んで長期政権をもくろむ二階氏の戦略なのでは、と言われています」(前出・記者)
現在、小池氏は国政復帰の可能性について「そういう意思を1度も言ったことがない」と全面否定しているが、その言葉を額面通りに受け取っている政界関係者は一人もいない、というのは前出の政治部記者だ。
「現実に女性初の首相就任の目があれば、小池氏が国政へ転じる可能性は十分ありうるでしょう。その場合、新党を立ち上げるという可能性もありますが、一番てっとり早いのが自民党に戻り、主流派である安倍・麻生の対抗馬として、それ以外の勢力と手を組むという方法。安倍・麻生両氏は当然、次の政権で二階氏外しに動くはずですが、政局にたけた二階氏も黙っているはずがない。そうなれば、昵懇の仲である小池氏を担いで、国政復帰の道筋をつけ、自らの派閥に引っ張り込む可能性も考えられます。魑魅魍魎の政治の世界。間違いなくまだまだ、一波乱二波乱はあるでしょうね」
なんとしても二階氏を外したい安倍・麻生、そして甘利明氏の「3A」グループに対し、二階氏の奥の手が小池氏合流なのか。さて、この戦いに小池氏が絡む可能性は……。
(灯倫太郎)