その発言で度々物議を醸してきたWHO(世界保健機関)のテドロス・アダムス事務局長が、東京オリンピックに合わせて来日。安全な開催を目指し、大会における新型コロナ対策を後押しする方向で調整している、と6日のTBSニュースが伝えた。
報道によれば、新型コロナの世界的な感染拡大以降、テドロス氏がWHO本部のあるスイスの周辺国以外に出張するのは初で、来日中には菅総理らと会談も行う方向で調整が進められているのだという。
テドロス氏と言えば、中国の武漢市から世界に感染が広がった新型コロナウイルスをめぐり、これまでにも各国から「中国寄り」と批判を受けてきた。
「WHO予算の最大の拠出国はアメリカですが、トランプ政権時代には新型ウイルスの情報共有の遅れや、中国からの入国制限にWHOが反対したことなどにより、トランプ氏から名指しで批判を受け、結果、アメリカがWHOからの脱退を表明。バイデン政権により脱退は取り下げられたものの、相変わらず中国寄りの発言が問題視されています。今回の来日の背景には、国際社会に向け、WHOをあげて感染症に打ち勝つぞ!という強いメッセージを打ち出したいとの思いがあるのでしょうが、日本政府内には、それ以上に、来日の目的にはテドロス氏の個人的思惑があるのでは、という見方も出ています」(政治ジャーナリスト)
周知のように、WHOとは「人種、宗教、政治思想、経済や社会状況などに関わらず、世界のすべての人が最高水準の健康を受ける権利がある」との考えの下、加盟国や民間企業、NGOと連携しながら世界各地で活動している組織。
「1948年に設立され、いまでは194カ国が加盟。スイス・ジュネーブに本部を置き、世界各地に150の拠点がありますが、組織のトップに立つのが事務局長です。テドロス氏はアフリカの北東部にあるエリトリア(1993年にエチオピアから独立)出身で、英国のロンドン大学やノッティンガム大学で公衆衛生や感染症について学んだ後、エチオピアの保健相や外相などを歴任。2017年にアフリカ出身者として初のWHO事務局長に選出された、という経歴の持ち主です」(前出のジャーナリスト)
通常、WHO事務局長の任期は5年だが、テドロス氏にとって来年がその年になり、米医療専門メディア『スタット・ニュース』によれば、すでに同氏は再選に向けて動き出しているとされる。前出のジャーナリストが続ける。
「WHO事務局長は2期まで務められるのですが、1期ごとに加盟国の投票で選ばれます。現時点ではまだテドロス氏本人の口から、立候補の意思があるかどうかは明らかになっていませんが、加盟国による事務局長候補者の推薦期間は、今年9月まで。そうなると、推薦期間の直前に東京五輪で来日し、その存在を改めて国際社会に示したいと考えて間違いないでしょう。ただ、テドロス氏がコロナを押さえ込む有効な手段でも教えてくれるのならまだしも、迎える方としては、ただでさえ感染対策が厳しい中、要人対応となれば現場の業務量が増えるだけ。本当に、Youは何しにニッポンへ?と聞いてみたいですね」
いっそのこと、テレビ東京が空港で直撃してくれないものか。
(灯倫太郎)