飲みやすい液状になっていることから、大人はもちろん、小さな子供や年配者でも手軽に服用できる「せき止めシロップ」。しかし、世界保健機関(WHO)は23日、インドとインドネシアの製薬メーカーが製造したとされるシロップを服用した人が、少なくとも300人以上死亡していると発表した。WHOは「即時かつ協調的な行動」を加盟各国に呼び掛けている。
「当該のせき止めシロップからは、自動車の不凍液や塗料の溶媒などに使用されるエチレングリコールとジエチレングリコールが検出されています。これは、少量の摂取でも急性腎不全を引き起こすおそれのある高い致死性を持つ有害物質です」(医療ジャーナリスト)
300人以上という数は、インドネシアとウズベキスタン、ガンビアの3カ国での人数で、死亡したのは大半が5歳未満の幼児だという。
もっとも、WHOによれば、東南アジアのフィリピンとカンボジア、東ティモール、それと西アフリカのセネガルでも同シロップが販売されていた可能性があるとしている。そのため、被害者のさらなる増加は避けられない見通しだ。
インドネシアでは政府の指示により一部製品が店頭から撤去され始めているが、全てを回収できるかは疑問という声もある。
「ドラッグストアや薬局からは撤去されているようですが、同国では街中の露天でも医薬品が販売されています。途上国では珍しいことではないため、これらの国で流通を完全にストップさせることは想像以上に難しいのです」(前出・ジャーナリスト)
気になるのが、日本での販売だが…。
「日本国内では流通していない製品です。ただ、今は認可外の海外の医薬品でもネット通販で簡単に購入でき、輸入代行業者も数多く存在します。日本に出回っていないと断言することはできませんね」(前出・ジャーナリスト)
これ以上、犠牲者が増えないことを祈るばかりだ。