7月8日、ワタミ株式会社の渡邉美樹会長は、東京都に4度目となる緊急事態宣言が発令されることが決まったことに「お酒だけが原因とされ、我々だけがずっと犠牲になっている」と怒りをあらわにしたが、ネット上の反応は微妙のようだ。
から揚げのテイクアウト専門店「から揚げの天才」100店舗達成セレモニーに出席した渡邉会長はいきなり緊急事態宣言について語り出すと、「緊急事態宣言が出た瞬間にウチは月間で4億円の赤字になる。でも、状況から緊急事態宣言は出さざるを得ないと思う」と宣言の発令には理解を示しつつも、「宣言を出すなら、ちゃんと緊急事態にしていただきたい。いつまでたっても街には人があふれている。百貨店はいい、映画はいい。それは緊急ですか?」と疑問を呈し、酒を提供する飲食店ばかりに休業が求められることへの不満をぶちまけた。
「西村康稔経済再生担当相は、酒の提供を続ける飲食店と取引を行わないよう酒類販売事業者に要請する意向を明らかにし、また融資元の金融機関にも要請に応じさせるよう働きかけるなどして、飲食業界への締めつけを厳しくする姿勢を鮮明にしています。そのため都内で約70店舗の居酒屋を展開するワタミとしては『なぜ、我々だけが…』と思うのは当然といえば当然なのかもしれません」(経営コンサルタント)
しかし、渡邉会長の発言にネット上では、《飲食が苦しいのは理解するが、「我々だけ」というのは違う。苦境にある人達はたくさんいる》《イベント系、アパレル系、エンタメなど補償もなく自粛をしているところもある》など否定的な意見が多く、加えて《さんざん従業員を使い潰してきた企業の会長がよく言う》など厳しい声も出ている。
「撤回はしたものの、過去に『365日24時間、死ぬまで働け』『営業12時間の内にメシを食える店長は二流』など数々のブラック迷言を残した渡邉会長ですから、今回の発言に《お前が言うな》と思った人も多かったのでしょう。一時はホワイト企業化したと話題になったワタミですが、一昨年に渡邉氏が会長に復帰すると、残業代未払いに関する労働基準法違反で是正勧告が出されるなど、すぐにブラック体質が顔を出していることから、《従業員を犠牲にするな》という指摘が出ても致し方がないといったところです」(ITジャーナリスト)
緊急事態宣言の再発令に飲食店には多くの同情の声が寄せられているが、どうやらワタミにはそれとは違った印象があるようだ。
(小林洋三)