村なのに人口増加率が2ケタ増の沖縄県中城村、そのワケとは?

 総務省は先日、2020年国勢調査の人口速報集計結果を公表したが、前回15年よりも日本の総人口は86.6万人減少。そんな中、首都圏1都3県や大阪、愛知など9都府県では人口が増えているが、県全体では東京に次ぐ増加率だったのが沖縄県。

 しかも、県庁所在地のある那覇市ではなく中城(なかぐすく)村が最も高く、人口14%増と全国1位の千葉県流山市(14.7%)、2位の福岡県福津市(14.2%)に次ぐ全国3位と驚くべき急増ぶりを示しているのだ。

「全国の多くの村が過疎化にあえいでいる中、大変珍しいケース。隣接する北中城村も全国4位となる11.4%増で、他県からの人口流入が続く沖縄でもこの2村への移住者は顕著に増えています」(沖縄在住のジャーナリスト)

 那覇から車で40分ほどの沖縄本島の東側に面した中城村の5月末時点の人口は2万2067人。平成以降の30年弱の間でほぼ倍増しており、もはや村の人口規模ではない。だが、沖縄モノレールの延伸エリアから外れているし、交通の便がそこまでいいわけでもない。なぜここまで人口が増えたのだろうか?

「確かに、中城村に住むならマイカーは必要です。それでも那覇の中心部までは12キロ程度の距離で通勤圏内なんです。それに東京や大阪と違って、これだけ離れると土地はかなり安い。のんびりした場所なので移住者やリタイヤ暮らしの方にも人気なんです」(同)

 那覇をはじめ、糸満市や浦添市など周辺自治体を含む地域は「那覇都市圏」と呼ばれており、中城村はその北限になる。同時に同村の北に位置する沖縄市を中心とした「沖縄都市圏」の一角でもある。つまり、2つの都市圏に含まれているというわけだ。

「人口増加の理由はそれだけでありません。中城村は隣接する宜野湾市、西原町との境にまたがる形で国立琉球大学のキャンパスがあり、実は若者たちも多く住んでいます」(同)

「村」というと過疎のさびれた地域をイメージしだが、のどかな雰囲気を残しつつもそうした典型的な村とは違うようだ。

(高島昌俊)

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