沖縄が「史上最悪級の外来植物」に浸食されている!

 従来の生態系を破壊し、農林水産業に重篤な被害を与えかねないとして国が指定する「特定外来生物」。その数は年々増えており、22年12月時点では156種類ある。このうち植物は19種類だが、なかでも「ツルヒヨドリ」の脅威に晒されているのが沖縄県だ。
 
 原産地は北米の熱帯地域で、専門家の間では〝史上最悪クラスの繁殖力を持つ植物〟として知られている。沖縄本島をはじめ、石垣島と西表島、与那国島での生息が確認され、光沢のあるハート形の葉と冬場に白い小さな花が大量に咲くのが特徴の多年生の雑草だ。

 1日になんと10センチ伸びることもあり、藪を形成して他の植物に覆いかぶさったり、絡みつくようにして成長。周りの植物を枯らしてしまうので除草剤を使うことができず、地元住民を悩ませている。特に農作物への影響は深刻で、サトウキビ畑やパイン畑、シークワーサー畑などへの多数の被害が報告されている。

「根本から引き抜いて除去する必要がありますが、地中にわずかにでも根が残っているとそこから再生するので油断ができません。それでも国や県が管理する土地ならまだ対応できますが、私有地に群生するツルヒヨドリの中にはそのまま放置されている箇所も多い。県は沖縄本島北部のやんばる地域や西表島など手つかずの自然が残る重要区域からの排除を目標に掲げていますが、かなり厳しい状況です」(沖縄在住ライター)

 実は、厄介なことにタネはタンポポのように綿毛に付いて飛んでいき、海を越えて広範囲に拡散する恐れもある。しかも、1つの株から多いときには4万個のタネを作るため、生息が確認されていなかった土地でも爆発的に繁殖することが十分に考えらえるのだ。

「これからはちょうどタネが成る時期で、服や荷物などに付いて県外に持ち出される危険性が高いです。亜熱帯の植物ですが繁殖力の強さゆえ、場所によっては本州でも大繁殖なんて可能性もあります」(前出・ライター)

 もはや沖縄だけの問題ではないのだ。

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