沖縄「負けられない2つの選挙戦」で自民が仕掛けた「200億円の兵糧攻め」

 今年は本土復帰から50年の節目となる沖縄で、9月と10月に2つの戦いが行われる。

 1つ目の戦いは県知事選だ。8月25日に告示され、9月11日に投開票が行われる。もう1つの戦いは那覇市長選。10月16日に告示、23日に投開票となっている。いずれも戦いの軸は普天間から辺野古への基地移転に反対する「オール沖縄」と、これを早期に行いたい中央=自公の対立である。

「知事選は、立民・共産・れいわの推薦で移転反対を訴えて再選を狙う現職の玉城デニー知事、自公が推す元宜野湾市長の佐喜真淳氏、これに中間派の元衆院議員の下地幹郎氏の三つ巴の様相です。もちろん、移転問題を含んだ課題山積の沖縄にとって、3者は『絶対に負けられない戦い』となります」(全国紙記者)

 ところで、例年8月は国の来年度予算の概算要求が出されるタイミングだ。そこで内閣府が8月23日に固めた方針は、22年度の沖縄振興予算を約200億円下回る金額だった。

「沖縄振興予算は22年度に10年ぶりに3000億円を割り込みましたが、23年度はそれをさらに200億円減額するというものでした。県の要望を400億円も下回っており、これは予算を人質に取った露骨な兵糧攻めです。この意図を受けた自公推薦の佐喜真氏は、玉城氏による県の失政だとして選挙戦を闘うのは明らかです」(前出・全国紙記者)

 また、10月に行われる那覇市長選では、オール沖縄側は翁長前知事の息子で元県議の翁長雄治氏の擁立を決定。対する中央は現副市長の知念覚氏を擁立した。こちらも移転反対の翁長氏と副市長というガチンコ対立となっている。

 どちらが勝つにせよ、沖縄の自治と経済という難題を抱えた船出となる。戦いの行方が注目されるのである。

(猫間滋)

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