沖縄県全域で不動産価格が高騰、宮古島の「不動産バブル」と地元民流出の実態

 近年、地価の上昇が続いているが、それは都市部に限った話ではない。なかでも顕著な地域のひとつが沖縄。那覇以外の地域でも右肩上がりの状況に歯止めが利かなくなっている。

 国土交通省が今年3月に公表した「公示地価」によると、沖縄県全体の地価上昇率は前年比プラス5.46%。これは福岡県に次いで全国2位の高さだが、特筆すべきは地価が下落している場所がないこと。これは沖縄県だけだ。

 つまり、県庁所在地の那覇だけでなく県全域で不動産価格が高騰しているわけだが、その背景のひとつには移住先として人気を集めている点にある。沖縄への移住者は毎年3万人前後で推移しており、その多くはアッパーマス層(純金融資産保有額3000万円以上、5000万円未満)以上の人々だと言われている。

 だが、沖縄の平均年収や貯蓄額は全都道府県の中でも低く、移住者との経済格差は大きい。もともと東京や大阪など大都市圏に住んでいた者にとっては手頃な物件でも、地元の人間が手を出せる価格ではなくなっているためだ。

「那覇市内ではファミリー向けの新築マンションだと5000万円前後から。築30年前後の中古マンションでも3000万円前後の値が付くところもあります。買うのは移住者ばかりですが需要があるため、ついには億ションなども登場しています」(不動産業界誌記者)

 また、車社会の沖縄は那覇から離れてもそこまで安くならず、沿岸部にあるマンションはリゾート需要が見込める物件ばかりで郊外でも高い。しかも、沖縄本島は米軍基地が島の15%を占め、そもそも土地に余裕がない。そうした住宅事情の悪さに見切りをつけ、県外に出てしまう若者も少なくないそうだ。

「ただし、そんな沖縄本島よりひどい高騰ぶりを見せているのは宮古島。県内の地価上昇率トップ10のうち、9つを占めており、完全に不動産バブルが起きています。島内の戸建てやマンション、アパートはほぼ満室で、数十人の空室待ちが起きている物件もあるほどです」(同)

 土地価格の上昇が結果として地元民の流出を招くようなら地域にとってはマイナスな気もするが…。

マネー