トレード要員は返上?「小林誠司」を活かす”救援捕手”というポジション

「スガコバ・コンビ」が復活した(6月6日)。エース菅野智之は復帰マウンドを勝利で飾れなかったが、注目は今季初スタメンの小林誠司捕手。小林も6月2日に一軍復帰したばかりで、菅野とのコンビは昨年の開幕戦以来となる。このコンビ復活には、深い意味があったようだ。

「試合前、菅野と小林はかなり時間をかけて打ち合わせをしていました。小林がレギュラーだったころよりも時間をかけていたと思います」(スポーツ紙記者)

 小林が一軍に戻ってきた2日、ネット裏では「トレードのための見本市ではないか?」なんて“冷やかしの声”も出ていた。翌3日と4日は、9回裏最後の守備でマスクをかぶっているが、侍ジャパンの正捕手も務めたキャリアからしても、これではあまりにも寂しすぎる。

「試合中、小林は攻守交代時に自軍の外野手のキャッチボールの相手役を買って出たり、スタメン出場の炭谷が防具を付けている間に味方投手のボールを捕ったりしていました」(前出・同)

 しかし、小林は自分の置かれた立場を理解しているという。二軍降格の理由でもあるが、小林の打力不足は攻撃面での作戦にも影響している。そのため、3、4回打席に立つスタメンでは使えず、かといって、小林の経験値と肩はディフェンス面では大きな武器となる。そのため、打席に立たない9回最後の守備しか使えないというのが今の評価で、エース菅野が投げるロースコアのゲームなら、「打力不足が致命傷にならない」こともあって、スタメン出場のチャンスを得た。

「菅野は5回を投げ、失点2。『被安打3』は上出来ですが、原監督は勝ってほしいと思っていたはず」(球界関係者)

 この日のスガコバ・コンビに対する評価は微妙だ。また、1点ビハインドで迎えた4回裏、二死一、二塁の場面で小林に打席が回っており、三振を喫している。代打を送らなかったということは、原監督も菅野とのコンビが上手く行っていると判断したからだろうが、やはり、打力不足という課題は残った。

「今後、小林は試合終盤での起用が続くと思われます」(前出・同)

 エース菅野が本調子となり、相手打線を無失点に封じ込めることができれば、小林は打力不足を解消できなくてもスタメン起用の機会は増えていくだろう。

 救援投手ならぬ救援捕手、小林も物足りないと思うだろうが、こうした情報を聞く限り、巨人から放出のトレードを仕掛けることはなさそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

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