6月4日、政府は2020年度版の「水産白書」を閣議決定し、新型コロナウイルスの感染拡大する中、魚介類の購入量が18年ぶりに増加したことが明らかとなった。若者を中心に魚離れが進行していたが、コロナ禍にどんな変化があったのだろうか。
「魚介類の購入量は02年度をピークに右肩下がりとなり、19年度には約4割減となっていたのです。しかし20年度の生鮮魚介類の1世帯当たりの年間購入量においては前年比4%増の23.9キロとなり、増加に転じました。ただ、農林水産省が発表した『漁業・養殖業生産統計』によれば、20年の養殖を含む漁獲量は前年比0.5%減の417万5000トンだったため、漁獲量は減っているにも関わらず購入量は増えていることになりますね」(経済ライター)
中国をはじめとして世界中で魚介類の消費量は急増しているが、その一方で日本では魚離れが進んでいた。その原因は、漁獲量の減少による価格の高騰もあるが、主な原因は魚を捌ける人が少なくなったことだと考えられている。
「今の時代、魚を三枚におろせる人がどれだけいるでしょうか。魚料理は下処理が面倒ですし、とにかく手間が掛かる。しかし、農水省が発表した『食育に関する意識調査』よると、コロナ禍に『自宅で食事を食べる回数が増えた』人は35.5%増えており、さらに『栄養バランスのとれた食事』をするようになった人は12.8%増えていることが明らかとなっています。お家時間が増えたことによって今まで敬遠していた魚料理に挑戦する人が増え、またコロナに負けないためにも栄養バランスの取れた食事を意識するようになったことから、自然と魚を購入する人が増えたのではないでしょうか」(前出・ライター)
最近では魚のさばき方を紹介するユーチューバーも増えているため、今後はさらに魚の購入量が増加するのではないかという期待も高まっている。
(小林洋三)