名門「オンキヨー」33億円事業売却に「安すぎる!」驚きと無念の声

 国内オーディオメーカーの名門で経営再建中のオンキヨーホームエンターテイメントは5月26日、ホームオーディオ・ビジュアル事業をシャープと米音響機器大手ヴォックス社が設立する合弁会社に33億2300万円で売却すると発表したが、ネット上では「安すぎる!」と驚きの声が上がっている。

「1946年に創業したオンキヨーは国内有数のオーディオメーカーとして知られていますが、20日に発表された2021年3月期(20年4月1日~21年3月31日)連結決算では58億円の最終赤字となり、債務超過も2期連続で7月末には上場も廃止される見込みとなるなど、ここ数年は厳しい経営状況が続いていました。今年4月末からは事業売却の協議をおこなっており、当初の予定日よりは遅れたものの無事に契約が締結されることになりました」(経済ジャーナリスト)

 オーディオ業界では、ドイツの名門ゼンハイザーがコンシューマー部門を譲渡するなど冬の時代が到来している。というのも、iPhoneの登場によって音楽はスマホで聴くのが当たり前となり、売れるのはAppleの「AirPods」などイヤホンばかりで、その他のオーディオ機器は売上が激減。スピーカーの需要もあるが、売れるのはAmazonの「Alexa」やGoogleの「Google Nest」などAIが搭載されたスマートスピーカーで、オーディオメーカーはとても太刀打ちできない状況なのである。

「事業売却発表の前日25日には、GMOフィナンシャルホールディングスがヤフー傘下のワイジェイFXを289億円で買収していることから、ホームオーディオ事業のみとはいえ33億円での売却は安すぎると感じる人も多かったようです。オンキヨーは今年4月、iPhone向けのゲームコントローラーを発売して話題となりましたが、何か皮肉めいたものを感じますね」(トレンド誌ライター)

 オールドファンからは特に、事業売却を惜しむ声が相次いでいる。

(小林洋三)

ビジネス