「オンキヨー」事業売却で“オーディオの日本”の未来は?

 5月21日、米「サウンド・ユナイテッド」との間で、ホーム・オーディオビジュアル事業売却が合意に至ったことを発表した、老舗音響メーカーの「オンキヨー」。今後同社はヘッドホン事業に経営を集中させるというが、日本からまた一つ、お家芸だったオーディオ技術の中枢が消えたことになる。
 
「かつては“オーディオの日本”と言われるほど音響事業は強みでしたが、御三家の『サン・トリ・パイ』と呼ばれた山水電気・トリオ(ケンウッド)・パイオニアも、山水は海外企業からの買収を繰り返して2012年に破産。パイオニアは15年に今回事業を売却したオンキヨーにAV事業を譲渡しており、残ったのは現・JVCケンウッドのみとなりました」(経済評論家)

 なぜ、これほどまでに日本のAV事業、とりわけ音響事業は衰退してしまったのか。

「元をたどれば、デジタル音楽革命を起こしたと言われる米アップルの『iPod』の影響が大きいでしょう。それまでソニーの『ウォークマン』やポータブルCDプレイヤーもありましたが、『iPod』の登場により音楽を外に持ち出すことが圧倒的に手軽になった。そして現在では、ほとんどの人がスマホで音楽を聞くようになり、高価で大型なホームAVなど音響システムは必要とされなくなってしまったのです。今回、オンキヨーがヘッドホンやイヤホン事業のみを残したのも、そうした流れに対応するためでしょう」(オーディオ専門家)

 良い音で聞くことよりも、手軽に聞くことが重視される時代になってしまったのだ。

(小林洋三)

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