劇場はOKなのに…東京都の“映画館休業要請”で業界に悲鳴と怒号

 新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の延長に伴い、東京都は政府の判断とは異なる独自の休業要請をおこなっており、劇場や演芸場が有観客での営業を再開させているが、映画館は未だに休業要請をされたまま。曖昧な線引きに映画関係者たちからは悲痛な声が上がっている。
 
「政府は、5月12日からの宣言延長で映画館を劇場と同じ『イベント関連施設等』に分類し、休業要請から21時までの時短要請へ緩和しました。しかし東京都では、12日以降も映画館の休業要請を継続。『人流を抑えるための総合的判断』というが、全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)は声明文を出し『今回の非常に残念な措置を受けたことは理解することが難しい』『多くの映画が中止や延期の判断に追い込まれつつある』と現状を嘆いています」(社会部記者)

 都の措置に対してはネット上でも《映画館はマスクをして話もしないで鑑賞し、換気もしっかりしているというのに本当に理解ができない》《人流を抑えるためって、それが映画館に当てはまって劇場に当てはまらない理由がまったく理解できない》《一回言ったら世論では変えないみたいな頑な姿勢がいかにも日本の行政っぽい。劇場と映画館は同じ括りが妥当だと誰もが思っている》など批判が殺到している。
 
「コロナ禍にあっても『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が歴代興行収入1位を記録したり、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の興行収入が80億円を突破するなど映画業界は好調に思われるかもしれませんが、『鬼滅』が大ヒットしても配給元の東宝は純利益が前期比で約60%減となるなど非常に厳しい状況にあります。しかも現在も人気アニメがのきなみ公開中であることから、都の判断によって映画業界が大きな打撃を受けることは間違いないでしょうね」(経済評論家)

 都には映画館に休養要請を続ける科学的根拠を示してもらいたいものだ。
 
(小林洋三)

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