「働くのが怖い」ホステスが明かした夜の街“ガイドライン破り”の営業実態

 東京都内で新型コロナウイルスの新規感染者数が連日100人を超え、その内訳は主に「夜の街」での感染拡大であることが確認されている。小池都知事は7月4日、記者団の取材に対し「夜の街」の感染対策として、政府が掲げている“夜の街ガイドライン”の順守を要請。また、利用客に対しても、ガイドラインを順守していない店を利用しないことや、接触確認アプリの使用を勧めた。

 6月19日には都内の休業要請が全面的に解除となり、多くのナイトクラブやホストクラブが営業を再開している。小池都知事も呼びかけた“夜の街ガイドライン”では「店内での人と人との距離をできるだけ2メートル、最低でも1メートル確保」「テーブルやカウンターにアクリル板やビニールカーテンを設置」「客の横でのカラオケやダンスの当面自粛」「回し飲みや客同士が飲み物をつぎ合うことを避ける」などといった指針が明記されているが、実際にはナイトクラブでどこまで感染対策が徹底されているのだろうか。ナイトクラブに勤務するホステスはこう話す。

「お客様との距離はコロナ以前とあまり変化はありません。マドラーやテーブルの消毒などは徹底していますが、近い距離で会話をする点では感染に対する不安があります。店内ではヘアセットが崩れないようにメガネのような耳にかけるタイプのフェイスシールドを着用して接客をしています。しかし同伴やアフターでは店外に出るのでフェイスシールドは外してしまいますね。油性ペンでフェイスシールドに源氏名を書いて店に保管していますが、レギュラー出勤ではないホステスはフェイスシールドも使いまわしていますよ」

 これが東京都外の“夜の店”になると、ガイドラインの順守度はさらに低くなるという。

「入店時の検温と手指消毒のみで済ませ、アクリル板もフェイスシールドも設置しないお店が半分くらい占めていると思いますよ。いろいろなお店を利用しているお客様からは、『フェイスシールドしてる店なんてほとんどない、なんだか飲みづらそうだし、外して』と不満がられることが多いです。正直、対策をほとんどしていない他のお店からハシゴ酒で自分の働いている店に来られると、自分も“夜の街”で働いていながら怖くなります」(別のナイトクラブに勤務する女性)

 収束の目処の立たない「夜の繁華街」に、政府は感染拡大防止の取り組みを強化する方針を発表した。接客を伴う飲食店に対象を絞って、再度の「休業要請」を行う案も浮上しているという。

「休業要請の最中、“太客”だけに限定し、貸しきり状態でのいわゆる『闇営業』を行っていたナイトクラブも少なくないです。しかしこうした店舗はごく一部。休業要請に従っていた店は、しっかりと“夜の街ガイドライン”を守っている店が多いですよ。しかしこれだけ“夜の街”での感染が確認されていては政府ももう一歩踏み込んだ決断を求められるでしょう」(情報誌ライター)

 一部の店舗がルール破りの営業をしたことで、昨今の感染拡大に拍車をかけたという見方もできる。その一方で、コロナ禍の「自粛要請」に従い、看板を下ろした夜の店も少なくない。歓楽街での「with コロナ」は難航しそうだ。

(浜野ふみ)

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