変異コロナワクチン「副反応の処方箋」10(1)医療関係者に多く発症する

 高齢者向けのワクチン接種が始まって1カ月余。開始2分で受付終了となるほどの争奪戦で、ついには「先に打たせろ」と抜け駆け接種を企てる不届き者まで現れる異常事態だ。17日からは大規模接種会場での受付もスタートしたが、転ばぬ先の「ワクチン副反応」の基本を現役医師が丸ごと解説する。

 ワクチン不足の列島では、公平なはずの接種機会がいたずらに〝ワクチン難民〟を増加させている。

 4月12日から一部地域で始まった高齢者向けのワクチン接種では「100回電話してもつながらない」「実家の両親の代わりにネット参戦したが、見事に撃沈!」「番号打ち込んだところでサーバーがダウンした」、はたまた「家族総出でネット予約した結果、孫がLINEで予約をゲットした」など、悲喜こもごもの事態を招いている。

 しかし、その一方「予防接種は子供の頃のBCG以来」「針を直角にブッ刺す筋肉注射が痛そう」など、接種前から注射アレルギーを訴える御仁も少なくない。

 そこでアサ芸は最前線でコロナウイルスと戦う現役医師に正しい「ワクチン効果と副反応」を尋ね、心の処方箋とすることをおススメしたい。

 回答するのは、感染症研究者でアメリカ国立研究機関博士研究員・峰宗太郎氏のほか、新型コロナワクチンなどの啓発を行うプロジェクトチーム「こびナビ」(木下喬弘氏、安川康介氏、岡田玲緒奈氏)の現役医師4人だ。

1_まずは、接種後のアナフィラキシー反応とは?

「アナフィラキシーとは、全身に比較的重い反応が出るアレルギーの一種です。じん麻疹や湿疹のような皮膚の症状、呼吸の苦しさ、気持ち悪さ、おなかの痛みなどが起こることがあります」(峰氏)

 厚生労働省の発表によれば、4月25日時点で94件(270万回接種)のアナフィラキシーが報告されている。

「具体的には、ワクチン等を投与した後に、全身の発疹、呼吸困難、血圧の低下や意識障害、腹痛や嘔吐などのうち、2つ以上が急速に出た場合にアナフィラキシーと診断されます」(峰氏)

 すでに接種会場ではこうした症状に対処する医療態勢が取られており、むやみに心配する必要はないという。

2_日本人にはアナフィラキシーが多い?

 4月25日現在、日本でのファイザー社製のワクチンによるアナフィラキシーの発生頻度は、100万回中約37回。一方、米国では100万回中4.7回と報告されている。このことから、日本人にはアナフィラキシーが数多く発症するという不安があるが‥‥。

「アメリカで先行接種を行った医療従事者では、100万回中約270回の頻度でアナフィラキシーが報告されていました。しかし、ワクチン接種が高齢者、非医療従事者へと進むにつれて、徐々に件数は低下しています。日本でも同様の傾向で、医療従事者のみにワクチンを接種していた3月11日時点では、100万回中約200回の頻度でアナフィラキシーが起きていました。つまり、日本人にアナフィラキシーが多く出るのではなく、医療従事者にアナフィラキシーが多く出る可能性があるということです」(峰氏)

 なんと、医療関係者に出やすいというのはなぜなのか。

「今のところ、この原因は、完全には明らかになっていませんが、医薬品や医療用物品に、アナフィラキシーの原因となるポリエチレングリコール(PEG)が使われていることが関係していると推測されます。医療従事者は現場で日常的にこういった物品に晒されるため、PEGに対する感受性が高くなり、ワクチン接種によりアナフィラキシーを起こしやすい可能性が考えられます」(峰氏)

ライフ