東京「協力金100万円」でも地方は…都道府県「コロナ対応」で明暗わかれる

 店名公表を行う行政と、意地でも休業は行わないパチンコ店との攻防戦。目下のコロナ対策ではやたらにこの泥沼の争いに注目が集まっている。その先頭に立っているのが、小池百合子・東京都知事と吉村洋文・大阪府知事だ。もちろん、東京と大阪の大都市で感染者、パチンコ店ともに数が多いから自然ではあるが、もともと店名公表に比較的積極的だった兵庫県以下、神奈川県、愛知県、福岡県といった大都市でも公表する動きに転じるようになった。

 だが、現実的に行える施策は各地の実情に沿ったもので、東京・大阪ほど勇ましくもない。

「パチンコ店を含めた遊興施設に休業要請を行っているのは44都道府県。うち37都道府県で休業要請に応じた事業者に『協力金』などの名目での金銭的な支援を行っていますが、東京と大阪の最大100万円を筆頭に、愛知県の50万円、神奈川や埼玉の30万円など格差が生じています」(全国紙記者)

 4月7日に7都府県に緊急事態宣言が出され、16日に広がって以後は、コロナ対応を巡って都道府県知事の評価でも明暗の格差が分かれている。勝ち組の代表格が、この東京の小池知事、大阪の吉村知事のほか鈴木直道北海道知事で、一方の負け組は、大村秀章愛知県知事や湯崎英彦広島県知事、井戸敏三兵庫県知事といったところか。

「小池さんはなかなか緊急事態宣言を出さない国相手に、休業要請を打ち出すタイミングで互角に渡り合いました。吉村さんは厚労省が二の足を踏む感染者の立ち寄り先を独自に公表、休業支援金では東京に先を越されましたが、その後は東京に負けじと矢継ぎ早な対応が目立ちます。鈴木さんも迅速な対応が評価されて、地元紙で脅威の88%の支持率を獲得しています」(前出・全国紙記者)

 緊急事態宣言が出されてから話題になったのが、SNSでの「♯吉村寝ろ」、「♯井戸起きろ」、「♯大村寝てろ」のハッシュタグだ。吉村大阪府知事の目の下にクマが出ているのを受け、ネットでは「寝てくれ」と応援の声が寄せられて話題に。一方、井戸兵庫県知事は「全く目立たない」と存在感の無さが指摘され、大村愛知県知事にいたっては、学校休業や医療体制などで批判を浴びつつも当初の緊急事態宣言から外され、挙句の果てに独自に宣言を出すにいたるという後手後手の対応から、一部ネット上で「寝ててくれ」とまで揶揄された。湯崎広島県知事は、「一律10万円支給」に触れて「県職員には寄付をさせる」と発言、後に撤回するにいたり、周囲を唖然とさせた。

 ただ勝ち組に関しては、一般的な評価と周囲のそれとは別のようで……。

「小池さんを筆頭にパフォーマンスに優れる知事は目立ちたがりなので根回しをしないために周囲からの評判は良くない。関係者にとっては『寝耳に水』なんてことがあるからです」(前出・全国紙記者)

 危機を乗り切るには「外出自粛」の根気強い継続とともに、空騒ぎに惑わされないことが必要だろう。

(猫間滋)

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